第99話 あれで『ちょっと』なのか



 そもそもここ最近は偶に忘れがち(というかあまりにも麗華の行動と言動が残念過ぎるから)なのだが、氷室麗華という女性はスタイルが良くて、それこそ傾国の美女と言われてもおかしない程の美貌を持っているのである。 勿論その胸の大きさもなかなかのモノである。


 そんな女性が、例え昨晩枯れるほど堪能したと言えども水着姿で俺の前に現れれば反応しない訳が無い。


 むしろこれで反応しなければ男性として終わっていると言っても良いだろう。


 それに、麗華の胸元や首筋に見えるキスマークが最高にエロく、これで興奮するなという方が無理であろう。


 ちなみに俺は体中に麗華によってキスマークを付けられているので少しばかり恥ずかしいのだが、知人がいる訳でもないのでこの際恥ずかしいという感情は捨て去っている。


「どうしたのかしら? 呆けた顔をして。 私の顔に何かついているのかしら? それともあまりにの美しさに惚れ直したとかいうのかしら?」


 そして麗華はというと悪戯っぽくそんな事を言ってくる。


「あぁ、まさにその通りだ。 正直言って麗華に見とれて惚けていたんだ。 昨日あんなにやったのに俺の男の部分が滾ってしまうくらいには魅力的だし、美しいし、可愛い。 こんな女性が俺の彼女でありペットなんだとおもうと誇らしいし全世界の男性に自慢したいくらいだ」

「……っ、もうっ、お世辞でもそんなに褒めないでちょうだいっ!! そもそもご主人様はそんな甘い言葉を日常的に使うようなキャラじゃないでしょう? た、確かに愛し合っている時は甘い言葉も言ってくれたのだけれどもそれはそういうシチュエーションだから言ってくれたのでしょうし……っ。 なんだか調子狂うわね……っ。 それに、本当は私に見とれていたんじゃなくて昨日無理しすぎて疲れているのでしょう? これでも私は一応反省しているのよ? ちょっと自分の欲望を貪ることしか考えていなくてご主人様の体力面とか全く考えていなかったもの……」


 ちょっと? あれでちょっとなのか? とは思うもののここで突っ込んだりしたら後で面倒くさそうな事になるであろうし、マイナスの言葉をかけたり、ちょっかいをかけたいわけではないので敢えてそ部分には触れないでおく。


 でも、そっか……。 麗華からすれば、あれで『ちょっと』なのか……。


「嘘じゃねぇよ。 麗華は最高に可愛い俺の彼女でペットだ。 誰にも渡したくないし、惚れ直しもするさ」

「あうあう」


 そして俺は何故か一人勝手にナイーヴになり始めている麗華の頭を乱暴になでてやる。

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