第98話 さすが思春期男児



 しかしながら麗華が見た目に反してこういう奴であるという事はもとより承知の上であり、こんな事で音を上げていてはこの先やっていけないであろう。


 その事に関しては正直言って麗華と恋人になる決心をしたその時には腹を括っていたのでどんとこいといった感じであるし、男としても麗華という絶世の美女とそういう行為ができるのはなんだかんだ言って嬉しいわけで……。 しかも麗華から求められているわけだしな。


 それを踏まえた上で目下今現在の問題は俺の体力面であろう。


 まさかここまで体力を使うとは思っていなかった俺は今現在、朝の陽ざしによってまるで吸血鬼かの如く砂になって消え去ってしまいそうである。


「そういうご主人様はとても辛そうな感じだけれども、私とそういう行為をするのは嫌だったのかしら? そ、それだったら今度やるときは五回……いや、三回に減らしほうが良いのかしら……?」


 そして麗華はそんな俺を見て『本当は嫌だけれど』といった雰囲気を醸し出しながら今度するときは回数をへらそうか? と気遣ってくれるではないか。


 ちなみに昨晩は八回いたしたとだけ言っておこう。 というか自分でも良く八回戦までできたなと昨日の俺を褒めてやりたいほどだ。


 勿論八回というのは自家発電でも流石に一日で出したことは無い未知の領域であった為、最後の方は俺の息子も少しばかり痛みを感じていたのだが、目の前で絶世の美女が裸で誘っていたらそり立つわけで……。


 そして彼氏として彼女にそんな事を言わせてしまったという罪悪感も少なからずあるわけで……。


「いや、大丈夫だ。 次も同じくらいしよう。 次回は俺も身体をしっかりと作って来るから今回以上かもな……っ」

「はひっ!? そ、それは楽しみだわっ!!」

「だから心配すんな」

「あうあう」


 そして俺の返事でぱっと花が咲くように表情が明るくなった麗華の頭を俺は少しだけ乱暴に撫でてやると、麗華は嬉しそうに目を細める。


 その麗華の表情を見て俺は『こんな笑顔を見る為にもこの旅行が終わったら、体力作りの為に筋トレとランニングを始めようか』と思う。


 しかしながら、今後体力作りをするのは良いのだが今現時点では一般的な帰宅部の体力である事には変わりないわけで……。 


 これから海へと繰り出し、泳ぐ体力ぐらいは回復できるだろうか? いや『できるのだろうか』ではなくて、彼女の為に俺は『泳げるくらいまで体力を回復させるのだ』と俺は心の中で思う。


 そして海。


 そう悩んでいた朝が懐かしく思う。


 そんな悩みなど麗華の水着姿を見た瞬間に消え去ってしまった。 さすが思春期男児である。

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