第92話 いくらご主人様であろうとも譲れない




 折角ここ数日間調べ尽くして出会った最高のホテルであったのに、それがラブホテルというだけで私のご主人様である犬飼祐也様は童貞故にヒヨッたのか怖気づいたのか真面目なのか分からないのだが駄目だと言いい、別のまともな・・・・ホテルへと向かう為にここまで運んできてくれたタクシーへと私を半ば強引に押し込むではないか。


 普通こういうのは女性である私よりも男性であるご主人様の方が乗り気というか性欲を爆発させて本能のままに行動するものではなかろうか?


 しかも私調べでは、ご主人様は童貞である上に思春期真っ只中である為毎晩性欲を発散してもし足りないくらいの性欲を持っている筈である。


 しかしながら何故か私の方が性欲を爆発させまいと我慢しているのが現状である。


 そもそも泊まるホテルを私に任せ欲しいとご主人様に許可を取ったその時から毎日毎晩妄想からの自家発電で頭の中はそういうことしか考えられない状態なのである。


 この状態が発情期と言われれば『なるほど、これが発情期なのね』と納得できてしまうくらいに頭の中はそういう事でいっぱいである。


 当初はそんなエロい感情ではなく、ただ純粋にペットとしてのプレイを隣に聞かれない防音設備がしっかりとしている、最悪聞かれても大丈夫そうなホテルをと調べていると自然とラブホテルへと行きつき、そしてそのラブホテルを更に調べて行くと『ペット調教セット部屋・ペット調教用の道具のレンタル可』という部屋とサービスがあるラブホテルを見つけてしまった。


 それらがいわゆるSМという性癖を持つ者同士のプレイの一環であるというのはいくら私でも理解している。


 理解しているのだが『ペット調教』という言葉が気にならない訳ではないのである。


 むしろ気になって仕方ないまである。


 私自身SМとかどうでも良いし、ご主人様がSな私はМに、ご主人様がМならば私はSを演じても良いくらいの感覚であり、用はペットとして扱ってくれるのであれば何だって良いのである。


 しかしながら『ペット調教』、これだけはいくらご主人様であろうとも譲れない。


 ペットとして調教を受けるのは私でありご主人様ではないのだ。


 これがそういうプレイであったとしても譲るつもりは更々ない。


 そしてそんなこんなでいろいろとそのラブホテルのサイトに載っているレンタル可能な『ペット調教用の道具』を眺めながら一つ一つ妄想をしていると、私の中の性欲がとんでもない勢いで増して行ってしまい、一日一回の自家発電では処理しきれなくなってしまった結果、今に至る訳で。


 


 

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