第87話 覚えておけ

 なんだこのカオスな空気は。


 しかしながら今の俺にとってはこの空気は逆にありがたいのかもしれない。


 ここまで来ればもうコレから俺が何をしようとも、今以上変な空気になる事はないだろう。


 ただ『麗華だけではなく俺も変態』というレッテルは貼られてしまうかもしれないのがある、そんな事が怖くてこれから麗華と付き合っていけるはずがないし、こんな事で耐えられないようでは麗華という女性は荷が重すぎると言えよう。


 そもそも、麗華が変態であると気づいた上で別れずに付き合い続ける決意をした時点でいつかこんな日が、高校で俺と麗華が付き合っていて、それだけではなく変態であるという噂が広がる覚悟はしていた。


 もちろんそんな噂が広がらないというのが一番なのだが。


 という訳でここで俺がひよるなどあり得ない。


 そして俺はリードを引っ張って麗華を俺へと引き寄せる。


「あぁ、そうだよ。 俺はお前よりも変態な麗華を選ぶよ。 じゃぁ、ここでおしっこを漏らされるのもアレだから、これ以上話すことがないのであれば俺たちは先に行くよ」

「ま、待ちなさいっ!! 話はまだ終わってないわよっ!!」


 麗華が『これ以上は、これ以上は本当にヤバい……かもっ!』と俺の耳に囁いてくるので、これ以上は本当にヤバいと判断した俺は(麗華はむしろこの状況を楽しんでいる(興奮してしまっている)ような表情をしているのだが無視をする)麗華が漏らしてしまう前にこの場所を離れなければと、朝比奈との会話を半ば無理やり終わらして高校へ向かおうとするのだが、そんな俺をなおも朝比奈が止めようと叫んでくるではないか。


「何? もう答えは出てるからこれ以上は話す事はないと思うんだけど? 内容はどうあれ俺は朝比奈に告白してフラれた。 そしてその後に麗華から告白をされて受け入れた。 ただそれだけの話だと思うんだけど?」

「そ、それはそうだけど……で、でもっ! こんな変態に祐也を奪われたなんて、私のプライドが許さないわよっ!!」

「確かに麗華は変態だ。 誰がどう見ても変態なんだが、俺の彼女に向かって関係ないお前が変態だなんて言ってんじゃねぇぞ? 麗華を変態だと言って良いのは彼氏であり飼い主でもある俺だけなんだよ。 覚えておけ」


 俺は怒りを隠すこともせずに朝比奈にキレる。


 当たり前だ。 自分のペット件彼女に対して『変態』と言われて怒らないやつなんかいない。


 一回目は許すが流石に二回目は許さない。


 そして俺はいまだに何か言ってくる朝比奈を無視して高校へ向かうのであった。



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 ここまで読んでいただきありがとうございます。


 次でラストとなりますんどえ何卒よろしくお願いします٩( ᐛ )و








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