第75話 ただのヤバい奴

「なぁ麗華? 俺たちってこれから一緒に学校へ登校するんだよな?」


 そして俺はこの件に関してはいくら一人で考察してみても正しい答えに辿り着けるはずがないということだけは分かった為、変に意固地になって一人で麗華が持っている首輪とリードの謎を解こうとせずに、ここは素直に麗華へ聞こ事にする。


 流石にいくら変態の麗華と言えども学校へ麗華の首へ首輪とリードをつけ、そのリードの先を俺を握り、まるで犬の散歩のように登校するわけではないだろう。


 あれは俺の部屋の中、又は深夜だからこそできるわけで、登校時でなくても明るい内に外で麗華に首輪をつけてリードを引っ張りながら連れ回す度胸などあるはずがない。


 もしそんな事をできる者がいるとするのならば、そいつはただ頭がおかしなだけである。


「何って、この首輪とリードを見て分からないかしら?」

「いや、だから分からないから聞いているんだが? まさか麗華に首輪とリードを着けて、そのリードを俺が持って学校へと登校するとかいうわけではないんだろう?」

「一体ご主人様は何を言っているのかしら? 当然首輪とリードを着けて、リードはご主人様に持たせて学校へ登校するに決まっているでしょう?」


 その頭がおかしな奴は今、おれの目の前にいた。 


 そしてその頭がおかしな奴は俺へ『そんな事も分からないのかしら?』というような表情をしながら首輪とリードを着け、リードの先は俺が持って登校するとほざくではないか。


 なんでこいつはまるで『そうするのが当たり前である』というような感じを醸し出しながら話しているのか本当に理解に苦しむ。


「いやいや、そんな事をして何になるんだよ? デメリットはいくらでも思いつくのだが、メリットにかんしては冗談抜きでなに一つとして想像することができないんだが? それをする事によって生じるデメリットよりも大きなメリットが当然あるんだよな?」

「当たり前でしょう? 『ご主人様は私のご主人様であり、私はご主人様のペットである』という事を周りに見せつける事によって、他のペット候補の虫達を追い払う事ができるわ。 この方法を考えついた時、私は天才かと本気で思たわね」


 むしろ永遠に思い付かないでほしかた。


 そして、それは天才ではなくてただのヤバい奴でしかない事に早く気づいて欲しい。 切に。


 後、俺のペットになりたいとかいう変人はおそらく世界中探しても麗華一人しかいないので、『俺のペットは麗華であると見せつける事によって他の、俺のペットになりたいという人たちに牽制する』必要性をまるで感じないのだが。

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