第74話 首輪とリード
何だろうか? 今の俺の感情を言葉にするとするのならば『逃げられないよに外堀を埋ようとしている』又は『将を射る為にまずは馬から仕留めようとしている』という感覚に近いかもしれないなと思う。
その為麗華と母親とが仲良く話す度にこの考察が正解なのかもしれないと思ってしまう程には麗華が俺の家族と仲良くなっておりこの空間に違和感なく溶け込んでいる姿を見て大した奴だと思ってしまう。
「いやほんと、麗華ちゃんみたいな娘さんが私の義理の娘になるなんて、お母さんは嬉しいわぁっ」
「私も麗華さんみたいな義姉さんができると思うと、友達皆に自慢したくなっちゃうくらいに嬉しいんだけどっ」
そして我が家の女性陣は既に麗華によって攻略されており、我が家のパワーバランスが女性陣の方に偏っている現状から見ても俺に勝ち目は無いだろう。
しかしながら俺にはまだ最後の砦である父親という存在がいるのだ。
まだ諦めるには早いだろう。
そう思いながら俺は少しの希望と共に父親の方へと目線をさり気なく向ける。
「うん…………裕也が選んだ女性だ。 父親の俺がとやかく言う事でもないだろう。 それに祐也にはもったいないくらいの娘さんである事は既に分かっている事だしな。 良いんじゃないか?」
そう思っていたのだが、父親は全てを俺にぶん投げて来やがった。
そしてここで俺はようやっと気付くことができたのだ。
俺は既に麗華によって外堀が埋められており、麗華と結婚するしか道が残されていないという事に。
「あ、バカ息子。 もし麗華ちゃんを泣かせたら容赦しないからね」
そして俺は母親からありがたいお言葉を貰うのであった。
◆
そんなこんなで麗華と一緒に家族で朝食を取ったあと、今日は初めて二人で登校する事にした。
というのも今まででは俺と麗華が付き合っている事がバレる可能性があった為同じ場所を登校するにしてもお互い少し離れて登校していたのだが、今日は何故か麗華から『ご主人様と二人並んで一緒に登校したい。 私たちは何も疚しい事はしていない筈なのに隠すのはおかしい』という強い要望によりここで逃げるのは男ではないと俺は麗華からの要望に応える事にしたのである。
そもそも学校の生徒達に隠していた理由は『朝比奈裕子』に俺達の関係をバレたくないという打算的な感情からというのが大きかったためであり、奈裕子よりも麗華の方が好きだと胸を張って言える今では別に奈裕子に俺達の関係がバレても『だからどうした?』程度にしか感じないので今さら分かれて登校する必要も無いだろう。
でも何故だろう。 麗華が手に持っている首輪とリードが俺にはまったくもって理解できないのだが。
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