第72話 問答無用
そして俺は麗華がそう言った瞬間、なぜまだ麗華は俺の腹の上に股がっているのか、そして俺の頭を固定しているのか、その理由が分かった。
おそらく麗華はまだキスをしたりないので、何だかんだとソレっぽい事を言って、再度俺にキスをしてくるつもりなのだろう。
そして今の麗華は鼻息荒く興奮しており、その目線は俺の唇をまるで猛禽類かのごとく見つめているのでまず間違いないだろう。
「では、おかわりを頂きます……」
「いや、待てっ。 下には両親、隣の部屋には妹がいるんだぞっ!? 流石に朝っぱらから俺に跨ってキスしている麗華と俺の姿を見られたくないんだがっ!? うむぅっ!?」
「問答無用っ!! …………んむっ」
そして実際に俺の予想は当たっていたらしく、麗華はそのまま顔を自分の両手で固定している俺の頭へと下がってくるので最後の抵抗とばかりに家族に見られたくないと何とか反論するも『問答無用』と一蹴されてそのままキスをされてしまう。
初めは唇だけが当たるようなキスを、それをひとしきり堪能した後は、啄むようなキスを、それもまた数分間行い、最終的に舌を俺の口の中に入れてくる。
そして、悔しいのが俺も満更ではなく、麗華とキス出来て嬉しいと思ってしまっているではないか。
そもそもここ最近異性として気になり始めている女性からキスをされて嬉しくない男性などいるのならばここへ連れて来て欲しい。
そんな男性などいないだろう。
だから俺が満更でもないと思ってしまうのは致し方ない事であって俺は何一つも悪くないという事を言いたい。
しかしながら、そんな『気になる女子とキスを出来て嬉しくないわけがない』事よりも『俺の口の中に入って来た麗華の舌に俺の舌を絡ませたい。 何ならエロ本というバイブルで得たディープキスの技術でまだまだ荒く一方的な舌裁きをしてくる麗華を分からせてやりたいと思ってしまう。
だがここで俺が麗華の舌に答えてしまうと麗華の思う壺なので絶対に反応してはいけないと思っていても雄としての本能が麗華の舌に答えたいと反応するので無理矢理何とかボロボロになった理性で抑え込んでいるのが現状である。
はっきりっていつ俺の雄としての本能が理性を超えて来るのかが分からない程である。
「ぷはぁ…………っ。 こ、これは癖になってしまいそうね。 毎日しようかしら?」
「…………好きにしてくれ」
そして俺は麗華に強く言えるわけもなく、どっちつかずの返事をする。
しかしながらいつまでもこんな事をやっていては遅刻してしまうので一旦ここはキスの話題は頭の片隅に追いやってしまう。
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