第64話 何を言っても逆効果でしかない
「ちょっと何を言っているのか分からないわね」
「いや、絶対に分かって言っているだろっ!? てかトイレぐらい一人でできるだろっ!」
「できるわけないじゃない。 だってご主人様からトイレを躾けてもらってないんですもの。 躾けてもらう前にできたらそれはもは未来予知の類だと私は思うのだけれども?」
流石にこの状況は俺の理性がやばいので麗華に一人でトイレはできるだろうと言うのだが、まるで聞く耳を持ってくれないどころか子供の言い訳のような事を言うではないか。
「いや、本当に何かあってからでは遅いんだってっ!!」
「あら、私はむしろ何か問題があった方が既成事実もできて私も発散でき、一石二鳥なのだけれど? むしろウエルカムよ」
そして俺は『このままでは間違いが起きるかもしれない』と麗華に伝えるのだが、むしろ麗華からすれば間違いが起きて欲しいようで、俺の言葉は麗華にとって逆効果となってしまった。
「だからウエルカムとか冗談はいいからっ! もし万が一間違いが起きて麗華が身籠ってしまった場合は俺たち二人は学校を退学になるかもしれないんだぞっ!? そうなった時にこれから産まれてくる子供に不自由をさせてしまうかもしれないだろっ!!」
「ご、ご主人様……っ。 まさかそこまで私たち二人の未来を考えてくれていたとは……私、感動したわっ! ペット冥利に尽きるとはまさにこの事ね……っ」
ダメだ。 今の麗華には何を言っても逆効果でしかない。
しかもこの間、麗華は本当にトイレを我慢しているのか太ももを閉じた状態でモジモジと擦らせている上に、スカートを脱いで下着が丸見えになっている状態が恥ずかしいのか、俺の言葉に対して冷静に返している風を装っているのだが、顔だけではなく首まで真っ赤に染まってしまっているではないか。
スカートを脱いだばかりの頃は頬と耳だけ染まっていた事から見ても、時間が経つにつれて羞恥心が増していっていると考えていいだろう。
普段クール系な美少女である麗華が顔を真っ赤にしながらモジモジとトイレを我慢している姿を見て、理性をぎりぎりであろうとも保っている俺を誰かに褒めてもらいたいくらいである。
そんな俺の心の中では『もう我慢する必要もないだろう』『麗華本人も良いと言っているんだから欲望に身を委ねても良いのでは?』と葛藤しているというのに、そんな事などお構いなしに俺へなおもトイレを躾けてほしいとおねだりしてくる麗華が少しだけ腹が立ってくる。
だがその僅かな苛立ちがあるからこそ俺は今理性を保てている、そんなぎりぎり状況である。
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