第58話 ただちょっと歩くだけで
「ご、御免なさい……興奮して自分を抑えきれなかったわ」
うん、麗華が興奮しているのはその呼吸の荒さと目、高揚して少し赤らんでいる頬を見れば一目瞭然であるので驚きはしない。 何なら麗華らしいと思ってしまう。
しかしながら麗華本人はその事が俺にバレていないと思っているのか少しだけ恥ずかしそうに話すその姿が可愛らしく見えてくる。
「ほら、俺の家族にバレてしまう前に散歩へ出かけよう。 首輪とリードをつけてあげるから少しだけ大人しくしてくれ」
「は、早くしてちょうだい……っ もう私待ちきれそうにないわっ」
「分かった、分かったからっ」
そして俺ははやる気持ちが抑えきれない様子の麗華を宥めながら首輪とリードを付けてあげる。
「じゃぁ行こうか、麗華」
「はいっ! ご主人様っ!!」
なんか、麗華に首輪をつけるのが手慣れて来ている俺がいるのが少しだけ自分自身でも引いてしまうのだが、首輪とリートが付いている麗華を見た瞬間そんな事がどうでも良くなるほど可愛く思え、そのリードの先を俺がもっているという事がさらに俺を興奮させてくる。
あの麗華を、高校では『氷の女王』と呼ばれその美貌も相まって高嶺の花と男子生徒だけではなく女生徒からも羨望の眼差しで遠くから眺められているような麗華を俺が首輪とリードを付けて、そのリードを持ってこれから散歩をするのだ。
想像しただけでヤバイ。 こんなのを味わってしまってはもう俺は引き返せないだろう。
そんな事を思いながら俺は麗華の首輪に繋がっているリードを握りしめながら深夜の住宅街を歩いていく。
とりあえず目指すは近所の公園。
それだけでペットの散歩感がグッと高まり、俺たちのペットごっこにリアリティーが増してさらに興奮いてくる。
「あぁ、もうヤバイわね……これほどとは思わなかったわ」
「どうしたんだ? ちょっと調子が悪いようならば休もうか?」
「だ、大丈夫よ。 ただちょっと歩くだけで軽くイキそうになっただけだもの」
「…………そ、そうか。 まぁ麗華が大丈夫というのならば大丈夫なのだろう」
そして麗華と一緒に歩くこと二、三分で麗華がモジモジとし始めて来たのでトイレか何かと思い遠回しで聞いてみると、普通にドン引きするような答えが返って来たので引いている事を悟られないように返すので精一杯であった。
しかしながら、ある意味でこれが未来の俺の姿かと思うと笑うに笑えないしまだ引き返せるかもしれない今ならば真っ当な性壁を持つ人の道へと引き返そうかと少しだけ思ってしまうのは流石にしょうがないと俺は思う。
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