第49話 次ってなんだ次って
許さない。 この私を騙した兄貴にはキツイお灸が必要であろう。
そう思った瞬間、私は兄貴に侮蔑を含んだ目線で罵ったあとにお母さんへと告げ口をする。
その時の快感たるや、病みつきになるのも仕方ないと私は思う。
なのでその日以降兄貴の部屋を盗み聞きして、いつでも親へチクリに行けるようにしていたとしてもそれは私が悪いのではなくこんな性癖を覚えさせた兄貴が悪いのだからその代償はしっかりと兄貴の身体でもって支払ってもらうべきだ。
そして私の性癖に新たな性癖が加わるのであった。
◆
昨日は親と妹の冤罪を解くのにかなりの労力を消費してしまった。
麗華が弁明してくれたお陰でなんとか俺に貼られたレッテルは『ド変態糞野郎』から『ド変態野郎』へと『糞』が無くなった分だけマシになったので良しとしよう。
というか良しとしなければ俺の精神が耐えられそうにない。
そもそも俺ではなく麗華がド変態であるにも関わらず何で俺だけがド変態というレッテルを貼られなければならないのか。
確かに麗華のお尻を叩いている姿を妹に見られて、それを母親にチクられたという点においては弁明の仕様もないのだが、そもそもそうなってしまった原因であり『私が祐也さんにお尻を叩いて欲しいとお願いしたの』という証言までしてくれた麗華に対しては母親も妹も悪イメージがついていないのは流石におかしいのではないか? と思わずにはいられない。
こういう状況の場合はやはり、男性側が不利なのだろうか?
ただ言える事はこれから家ではスパンキングを行う事は自重しなければならない、またどうしてもスパンキングをやりたい場合は家ではないどこかでやらなければならないという事だろう。
場所を見つけるのも一苦労しそうだ。
今思えば自分の部屋とはいえ両親や妹と一つ屋根の下で暮らしているのだから普通に考えれば『そうなるだろうよ』という状況であり、何故昨日俺は少し考えれば分かる事すら理解できずにその場の雰囲気で麗華のお尻を叩いたのかと今さらながらあの日欲望のまま何も考えずにスパンキングをした事を後悔する。
……いやまて。 次ってなんだ次って。 なんでまた麗華のお尻を叩く体で俺は考えているんだっ!?
「あら? 難しい顔をしてどうしたのかしら?」
今現在は昼休憩中、麗華と一緒に人気のない体育館にある体育館用の放送室で一緒に昼食を食べていると、麗華が上目遣いで心配げに俺へ話しかけて来るではないか。
その表情だけで惚れてしまいそうになるのを俺はぐっと堪える。
騙されてはいけない。 今俺が悩んでいる事の元凶そのすべてが麗華であるのだから。
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