第41話 ね? 真実でしょう?
こ、この駄犬の仕業かっ!!
「な、なんでそれを言ったんだ……いや、待て麗華……お前、まさかっ!?」
そこで俺は嫌な予感がして背中に冷や汗をかき始める。
もし麗華が素直にそのまま伝えたのだとしたら麗華が変態扱いされるのは分かるし、なんなら俺が変態ではなかったという証明にもなるはずである。
にもかかわらずなんで俺が、麗華曰く俺たちの馴れ初めを教えた妹から変態扱いされなければならないのか。
一体どのような説明をすれば妹から変態扱いされるのか想像しただけで恐ろしい。
それはまるで空けてはならぬパンドラの箱の如き禍々しさがあり、しかしながら空けて中身を確認しなければ妹にどう弁明や言い訳をすれば良いのかすら分からないという地獄のようなこの状況。
俺が一体何をしたというのだろう。
「お、お前は妹にどんな事を言ったんだ?」
「どんなことって、私とご主人様は相思相愛で、恋人でペットと飼い主の間柄であること。 ご主人様がご友人との会話で『麗華から告白されたら俺のペットにしてやるぜ』と言っていたのを聞いた私は、前々からご主人様のことが異性として気になっていた上にペットになりたいという願望を持っていた為、その日のうちに告白して、恋人兼主従関係の間柄になったというのを懇切丁寧に義妹さんへ──」
「ちょっと待て。 今明らかに事実とは異なる内容が聞こえてきた気がするのだが?」
「………………はにゃ?」
どうしよう? 物凄く殴りたい。 ダメだと分かっていても殴りたい。
「いや『はにゃ?』て……そんな顔してもダメだぞ?」
「でも真実には変わりないでしょう? 私は元からご主人様の事が好きでご主人様のペットになりたい、ご主人様は私から告白されれば何でもいうことを聞く。 これはもうそういう事でしょう?」
そして麗華は『ね? 真実でしょう?』と言いたげな表情でそんな事を言うではないか。
「いや、ゼロと一くらい大きな差があるわっ!!」
「こ、これはお仕置きされてしまうのでしょうか?」
「そうだな……お仕置きするのもやぶさかではないなっ」
そして俺は思わず声を荒げて反論してしまうと、まるで麗華はその言葉を待っていたかのように『私はこれからご主人様からお仕置きをされるのか?』と聞いてくるではないか。
それを聞いた俺は思わず『麗華をお仕置きしてもいいのではないか?」と思ってしまうのだが、そこで麗華は自分の学生鞄を持ってくると、その中から鞭を出してくるではないか。
「では、このダメなペットをこの鞭で躾けてくださいご主人様。 ちなみにこの鞭はそういうプレイ用に作られているの安心安全です」
何が安心安全なのか。
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