第39話 一般的な性癖
「そ、そんなに難しい問題なの……?」
一体、どんなことに兄貴は巻き込まれているのか。
そもそも兄貴がこんな美人を彼女にすること自体やっぱりおかしな話だったのだ。
絶対に裏があるとは思っていたのだが、それでも少し、ほんのちょっとは本当であって欲しかったし氷室さんに限ってそんな事はしないと思いたかった。
確かに兄貴の事はたまにウザイし大好きってわけでもないけど兄貴は兄貴で、私にとってはたった一人の血の繋がった兄貴なのだ。
「だってそうでしょう? もし小出しに出していけばその度にご主人さ……祐也くんのパンツを貰えるかもしれないイベントが発生したのよ? でも、もしここで小出しにしてしまったばっかりに義妹である朱莉さんから『不誠実なのでパンツはあげません』なんてことになる可能性だってあるんですもの。 これはとんでもなく難しい問題よ」
「………はい?」
そう悩んでいたのだが、悩んでいたのがバカみたいに思ってしまうような事を目の前の氷室さんは言ってくるではないか。
しかしながら私はその瞬間天才的な事を閃いてしまった。
「そ、そうね。 では氷室さん、取引をしましょうか。 今ここで全て話してくれると……」
「く、くれると……どうなるのかしらっ……?」
「定期的に兄貴のパンツを盗んできては売ってあげるし、追加料金で兄貴に履いて欲しいパンツをそれとなく兄貴にお母さんが買ってきた風を装って渡して履かせることもできる。 そしてこの時にパンツが無くなることを隠すための身代わり用含めて二枚渡してくれれば、そのパンツを兄貴が履いた場合、洗濯前に救出して売ってあげても良いんだけど? だけど、当然小出しに話すというのであればこの話はなしだし、パンツもあげな──」
「買いますっ!! 買わせてくださいっ!! いくら払えばいいのかしらっ!? あぁ、今からどんな下着をご主人様に履かせようかと想像しただけで興奮してきてしまうわっ!!」
そして、うまくいけば良いな程度に思っていたのだが私の想像以上の食いつきで氷室さんはこの話に食いついてくるではないか。
ちょっと流石の私でも引いてしまう。
「分かったっ! 分かりましたから兄貴との馴れ初めとか包み隠さず教えてもらってからですっ!!」
「むぅ……まぁ、元々そういう契約内容でしたので良いでしょう」
そして氷室さんは話だす。
「まず、私は物心ついた時から誰かのペットになりたいと思っていたのよ」
しょ、初っ端からもうお腹いっぱい何ですけどっ!? え? もしかして氷室さんて兄貴に負けず劣らずの変態なのでは?
好きな人の下着を嗅ぐのは私のお母さんもお父さんの下着をよく嗅いでいたので一般的な性癖だとは思うけど、流石に『ペットになりたい』というのは想像すらしておらず若干引いてしまう。
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