第38話 匂いは薄い
◆
最近兄貴に彼女ができた。
何を言っているのか分からないと思うが、私だって何がどうなって兄貴に彼女ができたのか分からない。
しかもブスだとか体型が悪いとかそんなチャチな女性ではない、超絶クール系美少女が兄貴の彼女だったのだ。
「ねぇ、氷室さん。 ずっと聞きたかったことがあるんですけど……聞いても良いですか?」
「何かしら? それに貴女は将来私の義妹になるのだからさん付けもしなくて良いし、敬語も使わなくて良いわよ?」
そして私は真実が知りたくて、兄貴の部屋で兄貴のパンツを嗅いで『やはり洗濯されていると匂いは薄いわね』などと呟いている氷室さんに声をかけることにした。
ちなみに兄貴は私のプリンを買いにコンビニへ行っているので、帰ってくるまでが勝負である。
そして氷室さんは私に対してさん付けっも敬語も必要ないと言ってくれるのだが、先輩な上にこれほどまで美人だと逆に萎縮してしまいさん付けと敬語の方が逆に話しやすいので、せっかく氷室さんが必要ないと言ってくれたのだが、そのままさん付けと敬語を継続させてほしいと懇願して何とか了承を得ることができた。
こういう美人すぎて萎縮してしまうような人を高嶺の花と言われるような存在なのだろう。
「それで、私に質問って何かしら?」
「そ、それは……氷室さんは兄貴のどこが好きになったの? いまだに兄貴の彼女が氷室さんって信じられないんだけど?」
「残念だけれどもそれはいくら将来の義妹さんになる朱莉ちゃんだとしても教えることはできないわね。 御免なさい。 これは私と祐也さんとの二人の約束でもあるの」
「お兄ちゃんの洗濯前のパンツがここにあるのだけど?」
やはり一筋縄ではいかないようで、氷室さんと兄貴との関係は妹にすら隠さなければならない秘密があるようだ。 流石に怪しすぎる。
取り敢えず、昨日の深夜こっそり盗んだ兄貴の洗濯前の下着で交渉に試みようと取り出した瞬間、氷室さんが私が懐から取り出した兄貴の下着を物凄い速さでふんだくろうとするではないか。
もともと警戒していた私は何とか兄貴の下着をふんだくられずに済んだのだが、この速さ、私じゃなければ見逃してるね。
「…………流石にただで渡すわけないですよ、氷室さん」
「くっ」
「何も『難しい事をしないとこのパンツはあげません』なんて事を言うつもりはありません。 ただ氷室さんが兄貴の好きなところを私にだけ教えてくれ流だけでいんです」
「なるほど、そうきましたか……。 これはなかなか難しい選択ね」
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