第33話 ここが正念場
今はよく分からない女子たちの言葉よりも、ご主人様に舐め腐った態度をとるペットの躾の方が重要だろう。
そう思い麗華の方を見ると、まるで般若のような形相でこちらを睨みつめていた。
『あら、私の目の前で浮気ですか? そうですか』
そして送られてくるレインの内容を見て俺は頭が痛くななってくる。
どこをどう見れば俺と圭介とのやりとりを見て浮気と判断したのか、皆目見当もつかない。
そして皆目見当もつかないのでどのように誤解を解いていけば良いのかも分からないという悪循環に俺は目眩と頭痛がしてくると共に、先ほどのなめ腐った態度はやはり演技であることが分かった。
「ったく、お前は昔から自分にだけは厳しいよな。 何をそんなに固執して教室にとどまっているのか分からないのだが、ここまで来たら行けるところまで行けばいいさ。 万が一倒れたりしたら俺が責任を持ってお前を保健室に運んで行くからさ」
そんな俺を見て圭介が俺の後ろから軽く肩を揉んでくる。
そして周囲から『ほらっ!! 絶対二人できてるってっ!!』『これは明日圭介君の方が体調不良なって登校してくるパターンでしょっ!!』『あぁ、私たちで守らなければ……っ!!』と聞こえて来るのだが毎度の如くスルーする。
『なるほど、そうやって私に見せ付けて来るなんて……そっちがそのつもりならばこっちにも考えはあるわ。 放課後が今からとても楽しみね』
そして何故だか知らないのだが麗華がかなりご立腹のようで俺の息子が縮み上がってしまっている。
しかしながら俺がご主人様であるのならば、ここが正念場であろう。
もしここでペットの好きにさせてしまった場合、一生舐められかねないのでここが毅然とした態度で麗華と放課後接する必要があるみたいである。
そんな決意を静かに抱きながら俺は放課後まで過ごすのであった。
◆
「ど、どうかしら? ご主人様っ!?」
「いや、どうと言われても……」
「そんな痩せ我慢しなくても良いんですよ? 私の可愛さにメロメロなんでしょう? それこそ東城圭介とかいう奴の事など考えるスペースが無くなってしまうくらいには」
「いや、なんでそこで圭介が出て来るんだよ」
「くっ、まだしらを切る余裕があるとは……今以上の事をしなければ私は東城圭介には勝てないというのかしらっ!?」
「いや、だからなんでそうなるんだよ」
そして放課後。 いつものように麗華は俺の家にくるとそのまま母親と妹に挨拶をして俺の部屋へと入って来る。
ちなみに家の扉は母嫌が開けて俺の許可も取らずに俺の部屋へ入る許可を出したそうなので一度母親とは話し合う必要があるみたいだ。
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