第32話 はにゃ?
『だって着けてくれたもん』
『はい?』
『昨日ご主人様に首輪着けてくれたもん』
誰だ? こいつ……。
実際に話すのと文章でのやり取りでは印象が全く異なるというのは良くあるのだが、しかしながら麗華は今までレインでも麗華らしい淡白な文章であったはずであり、決して『だもん』などと語尾に着けるような人ではなかったはずだ。
それが、今返信された文章はどうだ。 頭を抱えたくなるぜっ!!
そして俺はまるで幼児帰りしてしまったかのような頭の弱い文章で返信してくる麗華を刺激しないようにできるだけ優しく問いただす。
『うん、そうだね。 昨日は俺が麗華に首輪とリードを着けてあげたね。 でもそれと学校にチョーカーを着けてきて、さらに自分は彼氏のものである証みたいな事を言うのとは別問題なんじゃないかな?』
『でも昨日ご主人様は私に首輪とリードを着けてくれたもん (;ω;)ぴえん』
は、話が通じないっ!?
明らかにおかしい。
麗華は普段が変態であるため忘れがちであるのだが決して頭が悪いというわけではない。 むしろ地頭はかなり良い方である為こんなロジックが明らかに破綻しているような返事はしないはずである。
そもそも『(;ω;)ぴえん』など顔文字や流行り言葉を今までレインや、普段の会話ですら使ったところを見たことも聞いたこともないのである。
徐々にそのように変化していくのならばまだわかるのだが、急に変わるのには絶対何かあるはずである。
そこまで考えて俺はある一つの答えに辿り着く。
『…………なあ麗華?』
『何? ご主人様? 今日はお外で散歩してくれるの? やったぁーっ!! ∩^ω^∩ばんざぁーい』
『お前、俺の問いに矛盾なく言い返せない事をわかっているからノリと勢いで誤魔化そうとしているだろ?』
『はにゃ? ٩( ᐛ )و』
「おい、どうした? 祐也。 顔を真っ赤にしてプルプル震えているんだが、本当に大丈夫なのか?」
そんな俺を圭介が心配して声をかけてくれる。
ほんと、こいつには昨日から心配ばかりかけて申し訳ないと思うのと共に友達のありがたさを再確認する。
「あぁ、大丈夫だ。 これは精神的なものだからな」
「まぁ、大丈夫ならば何も言わないが、昨日からちょっとおかしいぞ? 本当にやばいと判断したら俺が無理矢理でも保健室に連れて行くからな?」
「あぁ、ほんとお前には心配かけてすまない」
「良いって事よ。 友達だろう?」
その時何故だか女子生徒の中から黄色い声と共に『これ絶対に二人はできてるでしょっ!!』『これどう掛け算したら良いのかしらっ!?』『尊い……』などと聞こえて来るのだが正直あんまり意味がわからないのでスルーする。
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