第23話 爆弾

「………ちっ。 元々お前のことなんか好きでも何でもなかったからどうでも良いわっ!! 噂の氷の女王と呼ばれている奴がどんなもんか確かめたかっただけだしなっ!!」


 そして先輩は目に涙を溜めながら捨て台詞を吐いて教室から出て行ってしまう。


「氷室さん、本当にあの先輩をフってよかったの? 身長も高くてイケメンでバスケ部のエースなんだよ? もったいなくない?」

「そうだよっ。 今からでも追いかけていったら?」

「あの先輩他校からもかなり人気あるんだよ?」


 その先輩がいなくなったのを確かめてから麗華の近くにいた女子達がわらわらと集まってきて勿体無いだの何だのと言い始める。


 これもいつもの光景であり、この後麗華が『興味ない』と一刀両断するまでがお約束あったりする。


「興味ないもの。 だって私は既に彼氏がいるもの」

「うんうんそうだよね。 あの先輩じゃぁ氷室さんとは釣り合わないよね。 いくら持ててると言っても周辺地域レベルじゃ、日本レベルの氷室さんとは……へ?」

「本当だよ。 告白するなら家柄や将来も約束されたエリートかつイケメンじゃないと氷室さんとは釣り合わないと私もおも…………はい?」

「あの先輩は確かに運動ができて見てくれは良いかもしれないけど社会に出て人並み以上の給料を稼げるかどうかなんて分からないもんね……………え? ちょっと待って」


 しかし今日の麗華はいつもと違って『興味ないもの』の後にとんでもない爆弾を放り込んでいた。

 

 そしてクラスメイト全員の時間が止まってしまったかの如くみんな硬直してしまい、無音になる。


「あら? 言ってなかったかしら? 一週間ほど前から私に彼氏ができたの」

「…………ち、ちなみにどっちから告白したのかな……?」


 そんなクラスメイトの反応を見て麗華は『あ、忘れてた』というようなテンションで一週間ほど前から彼氏ができた事を言うと、固まって動かないクラスメイトの中で一人、麗華の隣にいる女子が壊れたブリキのようではあるものの何とか再起動に成功したのか、どちらから告白したのか質問するではないか。


「あら、そんな事が気になるのかしら? 別に面白い事でも何でもないのだけれども隠すほどでの事でもないので別に良いのだけれども……」

「いや、うん、ものすっごく気になるから教えてちょうだいっ!!」

「そこまで気になるものなのか、本当に不思議ね。 ちなみに告白は私からしたわ。 一度フラれかけたのだけれども私の熱い思いを伝えてみたら何とかお付き合いしてもらえる事になったわ」


 そして、そう言うと麗華は顔を赤らめて恥ずかしそうに、でも幸せそうな表情で自分から告白した事を告げる。 

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