第21話 風評被害が酷すぎる
「え?」
「え?」
いやいやいや、何であの話から俺の肌を舐める話になるのか意味が分からない。
「少しくらい舐めさせてくれても良いのではなくて?」
「いや、何でそうなるんだよ」
「分かったわ。 仕方ないわね。 今はこうして首輪をつけてご主人様にリードを握ってもらいスキンシップをとってもらえるだけ夢のようですもの。 今はご主人様を舐めるなどというのはまだまだ高望みよね」
そう言うと麗華は納得し他のかどうかは分からないのだが、舐める事はやめてくれるようで安心する。
そして麗華は幸せそうな表情で先ほどと同じように俺に抱きついてきて自分の匂いをつけ始めるのであった。
◆
「氷室さんっ、おはよう御座いますっ!」
「えぇ、おはようございます」
俺は今朝、始業前の教室にいた。
目線は俺の彼女件ペットの麗華である。
彼女は今教室の中央にある自分の席に座っており、クラスメイトが男女問わず挨拶をしてくるので、その人たちへ挨拶を返していた。
「ほんと、人気者だよな……氷室さん」
「まぁな……」
ほんと、何であんな人気者が俺へ告白してきたのか未だに分からないくらいには人気者で、そして俺には勿体無いくらいに美人なのである。
妹が俺に対して『何か良からぬことをして無理矢理付き合わせたのでは?』と思ってしまうのも、正直わかるくらいには釣り合っていない事は自分自身分かっている。
「あれほどの美人を彼女に出来るのならば俺だったらペットとして扱われても良い。 いや、むしろペットにしてほしいねっ!!」
「……正気か、お前?」
「当たり前だろう? 何んなら氷室さんの足で踏んづけてもらいたいくらいだし、毎日罵ってもらいたいくらいだねっ!! ほら、俺ドMじゃん?」
「いや、まるで俺が知っているような風で話されてもお前がドMかどうかなんか知らねぇわ」
一瞬『ペットにしてほしい』という言葉にドキッとしたが、どうやら俺の友達はただのドMだっただけらしい。
それと、俺と友達である東條圭介との会話を盗み聞きしたクラスメイト数名の女性が「どっちが受けかしら?」「やっぱり自分でドMって言っているくらいだから東城君じゃない」などという会話が聞こえてくるので、そういう勘違いをされるような会話は是非ともやめていただきたい。
それによる風評被害が酷すぎる。
そんな事を思っていると教室の女子達から黄色い声が聞こえ始める。
どうやらバスケット部のエース、学年は三年である上級生が俺のクラスに来たらしい。
そしてその上級生は当然の如く氷室の席まで歩いていく。
「氷室さん、ちょっと今良いかな?」
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