第14話 一石二鳥

「お、おいっ!? 何してんだよっ!!」

「何って、私達付き合っているのよね? だったら彼氏の腕抱きつくくらいの事なんら不思議でも何でもないわ。 それに私が祐也様のペットである事は隠すとは言いましたが、付き合っている事は隠すとは言ってませんもの。 なので裕也様は私のものであるというアピールもかねてイチャイチャしようかと。 まさに一石二鳥だわっ」


 そして、いきなり俺の腕に抱きついて来た麗華に何をしているのか聞いてみると、麗華はまるで良い事を思いついたようなテンションでぬけぬけと付き合っている事は隠すつもりはないと言ってのけるではないか。


 何が一石二鳥か。


 むしろ俺にとってはデメリットしかない気がするんだが。


 いや、このせいでひっそりと俺の事が好きなまともな性癖の女性にまで『犬飼祐也君に彼女が出来ただなんて……それも相手が氷室麗華さん……これでは私に勝ち目なんかないわっ。 さようなら、犬飼裕也君』なんて事になったら間違いなくデメリットだろう。


「その事なら心配しなくて大丈夫よ。 私が脅し周った……ではなくて調べ上げた結果犬飼君の事が好きな異性は一人としていなかったから」

「たとえ彼氏といえども勝手に他人の思考を勝手に覗くんじゃありませんっ!! 畜生っ!!」


 氷室麗華は犬飼祐也に現実を突きつけた。


 犬飼祐也は改心の一撃をくらった。


 犬飼祐也は七百五十のダメージを受けた。


「あら、別に悲しむ必要は何もないじゃない。 なんせこの私があなたの彼女なんだからむしろ誇らしいのではなくて?」

「………………麗華の性癖でむしろマイナスだよ、コンチクショウ」

 

 だれだよ、昨日『氷室麗華さんから告白される事なんてあり得ない。 もし告白されたら何でもいう事を聞いてやるよ』って言った奴は。


 俺の前に出てきたら一発殴ってやるぜ。


「それで麗華さん……」

「あら? 別に今まで通り呼び捨てで良いのだけれども、どうしたのかのかしら?」

「その、ずっと麗華さんの柔らかい物が二つ程俺の腕に押し付けられて形を変えているのですが……?」


 とりあえず考えないようにしてきたのだが、思春期真っ只中の俺にとっては土台無理な話しであったのだ。


 人類男に産まれたからにはこの二つの柔らかさに打ち勝てるだけの精神を持つ思春期真っ只中の男性などいやしないのである。


 しかもそれがあの氷室麗華のお旨様となると尚更だ


「だって裕也様に私の事を異性として意識してほしいんですもの。 胸の一つや二つくらいわざと押し付けますよ。 何だったら直接触ってみてもいいんですよ?」

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