第11話 冤罪
「御託はいいから早く起きて説明しなさいよっ!!」
「はい? 朝っぱらから何だってんだよ、ったく。 てか何を説明すればいいんだよっ?」
「そんなの下に降りたら分かるからさっさと降りるしっ!!」
そして俺は妹である朱莉により半ば強引に起こされるのだが、妹が言っている事がいまいち要領を掴めないので何について説明して欲しいのか聞いてみるのだが『下に降りたら分かる』と言って説明をしてくれない。
とりあえず何に対しての説明をして欲しいのかこれでは分からないままなので俺は渋々、傍若無人な妹の言う通りに動くのは癪だが一回へ降りることにする。
ここで言う通りにしないと余計に酷いことになるのは俺の経験から容易に想像がつくのでここは逆らわずに妹様に従った方が後々の事を考えてみてもそうした方が賢明だろう。
そして俺はまだ眠く、目を擦りながら一階へと降りていく。
「あら、遅いわね。 先に食べているわよ?」
そこには、俺の両親と一緒に朝食を食べている氷室麗華の姿がそこにあった。
「ねぇ、兄貴。 氷室さんと付き合っているって本当? 何か弱みを握って無理矢理付き合わせているんじゃないでしょうね? そもそも兄貴と氷室さんが付き合うなんて普通に考えればあり得ないからその線が濃厚よね? 兄貴、私も一緒について行ってあげるから警察、行こっか?」
「はぁ? 弱みなんか握ってねぇよっ!」
「そうよ朱莉ちゃん。 むしろ私がお兄さんである祐也様……んんっ、ご主人様……んんんっ! ゆ、祐也さんに告白してオーケーを貰えたのだから。 むしろこの場合私が祐也さんとお付き合いをしたいのだから私が祐也さんの弱みを握っていることになるのかしら?」
そして妹である朱莉は兄に向かって麗華の弱みを握って無理矢理付き合ってもらっているのだろうと冤罪発言をし、それを麗華が自分から告白したのだから弱みを握られて嫌々付き合っているわけではないと返し、さらにこの場合だと麗華が俺の弱みを握っていることになると冗談っぽい口調で妹に返す。
そして事実、弱みを握られているのは俺であり、決して冗談や笑い事などではないと言いたい。
「えっ!? 本当に本当なのっ!? マジでっ!? この糞兄貴のどこが良いのっ!?」
「こらっ朱莉っ。 お兄ちゃんに向かって『こんな』だとか『糞兄貴』だとか言ってはいけませんよ?」
そして、その事がよっぽど信じられないのか妹は麗華に再度本当かどうか食い気味で聞き始め、それを母親が嗜める。
そうだ母さん。 もっと妹に言ってやりなさい。
「お兄ちゃんにとって最初で最後の彼女かもしれないのだし、結婚できるかどうかの最後のチャンスでもあるかもしれないのだから彼女さんの前ではそういう恋が冷めてしまうような事は言ってはいけませんよ」
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