第10話 ペット道も道半
『あら、そう……だったら私はご主人様のペットだってクラスのみんなにはそういう約束だから話さないけれども両親にはつい、うっかり、ぽろっと、話してしまうかもしれないわね。 どうしましょう? ご主人様』
『それもうついでもうっかりでもぽろっとでもなく確信犯だよな? それと脅迫して言う事を聞かせるのはペット道としてどうなの? あとわざわざご主人様って言う必要はないから』
『ぐぬぬ……ペット道を出すのは卑怯じゃないのかしら? ご主人様』
『いやもう意味わかんねぇな。 俺からフッておいて何だが……何だよ、ペット道って。 あとご主人様って言う必要は無いからな? それこそ学校でぽろっと言いそうで今から恐怖でしかないんだが。 それに、俺のこの内容、特に後半部分を無視するの止めて貰っていいか? 読めてるんですよね?』
『なるほど、私もご主人様もまだまだペット道も道半って事ね。 取り敢えず私はもう寝るわね。 おやすみなさいご主人様』
そしてここで麗華とのレイントークが終わる。
彼女とのレイントークは文面さえ見なければ可愛らしい動物のスタンプ等を駆使しており、あの氷の女王と裏で呼ばれている人物とは誰も思えないであろう程には今時の女子高生のようなやり取りであると言えよう。 文面さえ見なければ。
「……不安だ。 不安でしかない」
特にこういうメールでのやり取りは相手の顔色を窺う事が出来ないだけに、相手がネタで言っているかガチなのか、どういう感情がこの文字には込められているのかが分かりずらい分、余計に不安である。
いっその事明日は学校を休んでやろうかとも思うのだが、明日一日休んだところで問題の先送りでしかなく、むしろ俺の家までお見舞いとその日配られたプリントを持っていくという大義名分のもと俺の家までくるかもしれない。
そうなれば母親や妹との遭遇は免れないだろう。
結局俺に残された道は登校するしかいないという事になる。
「はぁ……どうしてこうなったのやら……」
そしていくら溜息をついたところで何も変わる訳もなく、現実が俺にのしかかって来る。
氷室麗華ほどの美人から告白されて付き合う事になった場合はもっとこう、天に舞い上がる程嬉しくなるものだと俺は思っていたよ。
そして、一抹の不安を抱えながらその日は過ごすのであった。
◆
「兄貴っ!! オイ糞兄貴っ!! 起きろ糞兄貴」
「起きるっ!! 起きるからビンタは止めろやっ!!」
俺調べによると妹に対して並々ならぬ執着を持っている世の男性の九割が妹がいないという結果が出ているのだ、実際に妹がいる俺からすればその結果も当たり前だと言えよう。
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