ハリネズミ男子の大きく小さな背中-2
転校生の名前は、
高身長だけれど、駿よりはちょっとだけ小さいようだ…見た目でわかる僕って…
それと僕の高校は、ワイシャツに緑色のネクタイ、そして紺色のブレザーだけが義務付けられ、ズボンは紺であれば男女共に自由だったんだ。
なのに山際くんのネクタイは、ひん曲がってちゃんと締められていない…
そして、なにより髪の毛だ…まるでハリネズミのように、ツンツンと立ち上がり綺麗にセットされた黒髪…
僕の高校は、そこまで校則が厳しいものではなかったから、髪の毛をセットしたり染めたりしても怒られなかったけれど…
あれ毎日セットしてるのかな…
セットするの大変そうだなぁ…
そんなことを考える僕に、駿が僕にだけ聞こえる小声でボソボソと「ありゃ、ハリネズミか…?」なんて問いかけてくるから、僕も思わず「セット大変そうだね…」なんて零してしまったんだ。
みんなもなんだか、ソワソワしたような感じで山際くんのことを見つめている…そんな悪い人みたいな感じで見なくてもいいのに…
そんな中、先生の一声で山際くんが口を開いたんだ。
「山際 大和です…よろしく…」
め、めっちゃツンケンしている…!
なんだろう、初日だから緊張しているだけなのかな…?いや、それにしても彼から感じるオーラは、周りを引き付けたくないようなものだと僕は感じてしまった…
ツンケンとした自己紹介も終わり、山際くんの席を先生が示す…あれ、山際…やま……ん?!僕の前…?!!
そう僕の前の席が空いていたのは、転校してきた山際くんの席だったからだ…
わお…ハリネズミさんが僕の前に…僕も僕で酷いやつだ、心で変なあだ名を付けたりして…
山際くんは、周りの目なんて気にせずに、僕の方へと…いや、席に向かってきたんだけれど…
山際くんが席に座るその前に…僕は山際くんに一瞬だけ見つめられてしまったんだ…
ぼ、僕の顔になにか…ついてる…?
あ、つ、ついてるね!黒縁メガネ…!
そう、山際くんのトレードマークがハリネズミなら僕のトレードマークは、この黒縁メガネだ。
かけなくても見えないことはないけれど、黒板の字が少しだけ見えづらい…
そして名字のおかげで、後ろの席になる事が多かったから、メガネをかけていたんだけれど…べ、別にそこじゃないよね…?
でも、一瞬見つめられただけで、山際くんの表情はどこか冷たく、そして瞳の奥はどこか寂しげだと僕は感じてしまったんだ…
山際くんはそのまま、 プイっと顔を前へ向け僕の前に座り込み、そして僕の目には、大きい山際くんの背中とハリネズミの頭だけが映し出されてた。
背が高いから、背中も僕なんかより一際大きい…
でも、どうしてかな…僕には、この大きな大きな背中が、とてつもなく小さくて寂しげな背中に見えてしまったんだ…
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