第1話 遭遇

異世界。

次元転移魔法陣が正式に作動していたことから僕はどこかの異次元に飛ばされてのだろう。

三次元がいいけど、、、。


転移魔法陣の青白い光が収まってくると一番に入ってきたのは朝日のような眩しさだった。

身体中を蛇が這うように寒さが駆け巡る。

数秒して眩しさになれると自分の居場所がわかった。


「空かよ!」


転移魔法陣というのは自身の魔力をほとんど消費せずに使用することができる、便利なアイテムである。

同じ世界上ならば場所の指定などを細く指定できるのだが、異世界上に転移するとなると術の発動者が転移先の世界の住民でない限り、場所の指定はできない。

まぁ、あいつらは座標指定できても復活されないように勝手に死ねるような場所に転移させるだろうな。


「魔術は、、、」


この世界と前の世界の物理法則が大きく異なった場合、魔術は使用できないだろう。

だが、助かる道は他にない。

自分の中に魔力が込み上げてくる感触はある。

下を見ると、前世界と同じような森が近づいてきていた。

やるしかない。


「龍竜巻!!!(ドラゴンクレーク)」


龍竜巻は竜巻の威力を圧縮し、龍のようにして操る魔術。

成功すれば獣の鳴き声のような音がするはず、、、。


「ゴォォォォォォ」


わかったことがある。

この世界は魔術が使える。


魔力量を操作し、龍竜巻をクッションのようにして僕は地上にふわりと降り立った。


僕が降りたのは森だった。

地上に足をつけてから気づいたのだが、この森、、、。


「でかい。」


木の一本一本が太くそして背が高いのだ。

しかしここは異世界。三次元に転移出来たことですら奇跡なのだから何があってもおかしくはない。

今するべきなのは、


「水源の確保とこの世界の法則の確認だな。」


今の僕は神ではない。”元”神だ。

神の実力と知識があるだけであくまで人間。水や食料を摂取しないと死んでしまうはず、だ。

水源が確保できれば食料には困らないだろう。

どの世界でも水は必須アイテムだからな。

現に地面にぶつかるんじゃなかろうかという心配で口の中はサハラ砂漠だ。

おそらく喉が渇いているのだろう。

それにもし人間のような種族がいればコンタクトを取りたい。

この世界のことをできるだけ知りたいからな。

それに使用したのは次元転移用魔法陣。

魔術が使えたとはいえ、物理法則が大きく違ってる可能性もある。

今思えば重力が存在していたり、空気のあるところに降りたてたのも奇跡なのだ。


「僕は人間たちと楽しく生活できてたらよかったのになぁ。」



しばらく巨大樹の森を歩いていると、せせらぎが聞こえてきた。

それも、歩くとどんどん近づいてくる。


「川が近い!」


元神とは言え、今は人間。

けれどその音が疲労が蓄積し、鉛のようになっていた足を強く前へと進めてくれた。

その時だった。


「嫌ャャャャャャャャ!」


ん?嫌?いや?

”いや”って確か、日本語だよな。


日本語で人の声が聞こえた。

僕はもちろん声の方へ走った。

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