最強の神様、リストラされました

さじ

プロローグ

「お前はもう必要ない。出ていってくれないか。」


「、、、え?」


突然のリストラ。景気が悪くなったわけでもなく、仕事をしていなかったわけでもない。

ちゃんとつい三時間前まではしっかりと仕事をやっていた。

なんの仕事してたのって?

神様さ。


神様にも色んな種類がある。

分野ごとに一柱の神様がいて、世界の色んなことを分担して仕事をしている。

いわゆるホワイト企業だ。

そして、好きな時間に好きな場所で仕事ができるという、素晴らしい労働環境も揃っている。

それなのに、僕はリストラされた。

考えられる理由は一つ。

それは、僕の担当している分野が必要なくなったから。


僕は魔術神。魔術を司る神だ。

基本的な仕事は魔術を民衆に広く伝え、その暮らしを幸せなものにする。

でも今この世界で魔術が使われ、暮らしに役立ってるかと言われたら答えはノーだ。

今の時代で魔術が使えると言ったら、ラノベの読みすぎだの、厨二病だの言われ、ちょっと前の時代だったら火炙りで殺される。

この世界は魔術が嫌いなのだ。


翌日神々の本部みたいな建物に呼ばれた。


「リストラだってな。」


「あぁ。」


科学神。僕はこいつに負けたといっても過言ではない。

僕が人に火を教えたりしている間に戦争というものを創り出し、争いを生まれさせ、勝者のみが生き残れる世界を創っていった。

科学神が口を開いた。


「あっちの世界でも頑張れよ。」


どういうことだ?

「お前が世界の中にいると、魔術があるせいで科学じゃ説明できない物理法則とかが生まれちまうんだ。だから次元神に頼んで別の世界、異世界に行ってもらうことになったんだ。」


肌寒い風が吹いた。

いつの間にか背後には次元神がいた。

彼は三次元だけでなくさまざまな次元を操り操作することができる。

その能力を使い、空間移動してきたんだろうな。


「魔術神。予定より少し早いがおさらばだ。」


いやだ。この世界がいい。

生まれてまだ少ししか立っていない人間たちが切磋琢磨していくのを見ていたい。


「この世界にいることはできないのか。」


科学神は影のある笑顔で振り向いた。

その目には魔女たちを火炙りの刑に裁いた人々と同じものがあった。


「俺はねぇ、この世界で唯一神になるんだ。そのためには邪魔は排除すんだよ。」


科学神が強い意志と共につぶやくと足元にいつの間にかできていた次元転移用魔法陣から光が溢れ視界は真っ白になった。

邪魔って言っても、、、。

魔術はこの世界には浸透してないじゃないか、、、。

そういえばこの魔法陣、僕が教えたやつだなぁ、、、。

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