第18話

 頭痛い、体重い、気分悪い。


「最悪だ…」


 自室のベットでうずくまる私は、昨晩の記憶がないのだ。


 確か、お兄さんが負け続けて茜さんに水を渡してもらったところから記憶がねぇ。


「てか何で私、自分のベットにいんの」


 どうやって帰ってきた?服も着替えてあるし…。何でだーーーっと心の中で叫んでると、スマホが鳴った。


「もしもし」


「起きたか」


「おはようノック。ごめんだけど、昨夜の記憶ない」


 電話をかけてきたのはノックだった。


 珍しい、ノックからかけてくるなんて。


「まぁ、しゃあねぇだろ。それよりもお前、SNS見たか?」


「見てないけど…」


「今すぐ見ろ!大変なことになったぞ」


 言われた通りSNSを見た。そこには大量のメッセージと、動画が載っていた。


「なっ、何これ…」


 何これ何これ。『キルと燐道茜の関係とは』『キルの本性が現れた』などと動画やメッセージ。


 それと、茜さんのファンらしき人達からの怒りのリプが沢山寄せられていた

 驚きのあまりワナワナしていた。いったい私は何をやったんだ!


「いや〜。昨日のキルはやばかったは」


 私は急いでパソコンで昨日の記憶がない所をアーカイブを見返した。



ーRさん…なんで、遊んでくへんの

ーあっあの、キルさん

ー私はキルちゃう、Kや!

 なぁ。Rさん。何で私と遊んでくれんの?

 私が弱いから?

 それなら強くなるから、やから、やから…

ーわぁ!



「えっ!ちょっと!ここからどうなったのよ!」


「リスナーと同じ反応してるぞ」


 やからの次は何!何したのよ私は!


「ノックどうなったのここ!」


「あー。お前が燐道茜を押し倒して、寝た」


「何で止めなかったのよ!」


「止めようとしたけど無理だった」


「あ’’ーーー」


 バン!


 衝撃の事実過ぎてもう嫌になったので、机を叩いた。


「おぉ、朝から台パンか。元気が良いな」


「はぁー。ありがとノック教えてくれて」


「お、おぅ。元気出せよ」


「うん」


 一旦通話を終了させて、ベットに戻り、布団を深くまで被り発狂した。


「私は、私は!もう、嫌だー!酔っていたとは言えこんなことをするやなんて!絶対引かれた。もう終わった。人生の終わりや〜」


 私のアホ!もう、人前であんなお酒なんて飲まない!


 ベッドの中で落ち込んだ後、キッチンに向かい冷静になる。


 うん。アレは事故。事故なんだ。あんなに酔ったのは初めてで、情緒が不安定だったんだ。仕方ない。うん。仕方ないことなんだ。


 そう思いながらコーヒーを少しだけ飲む。


「……うぅ。茜さんに連絡してみよ」


K<おはようございます。茜さん。

  昨夜はすみませんでした。酔っていたとは言え

  このようなことになって深く反省してます…。


「……」


 コレでだ、大丈夫だよね?

 もしかしたらお仕事で返信遅いかもしれないから待って…。


ピコン!


「ヒッ!」


 びっくりして体を震わせてしまった。


「…あ、茜さん」


 早い!え?いつもならもっと何時間後ぐらいやのに。


R<おはようございます

  昨日のことは気にしてませんよ!


「よ、よかった〜。ひとまず茜さんは怒ってない」


R<あんなに飲んで大丈夫でしたか?

  もし何かあれば連絡くださいね


 やっ、優しい…!

 何だろう、ボムさんとまた違った優しさがある!


「…」


 今度何かお詫びをしよう。多分断られるかも知れないけど。


 安心したのか腹の虫がグーっと大きな音を立てて私に伝える「お腹が空いた」と。


「よし。ご飯食べて作業しますか」


 後、今日の配信の謝罪内容も考えておかないとね。


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