第13話
Rさんに私の瞳を見てもらった。でも、何にも言われなかった。
ただ真っ直ぐに見てるだけ。
自己紹介もして、Rさんが芸能人だって分かった
。
「…お仕事忙しいのは、売れっ子だったからか」
「はい。中々お休みもらう機会が無くて、もらっても同期とかに他のことに誘われて…」
「Rさんにも付き合いはありますし、気にしてません…」
私ばかりかまってると周りとの人間関係が難しくなるよね。
でも…少し寂しいな。同類だと思っていたのに、いつの間にか違う世界の人間になって。
「…」
誤魔化すかの様にハーブティーを飲む。
ハーブには心を落ち着かせる効果がある。ここのハーブティーはカマさんがこだわっているらしい。
「なぁ、この後どうする?俺、暇になるんだけど」
「帰ったら?」
「何でお前の見守りして帰らないといけねぇんだよ!そもそもまだ昼過ぎだそ、遊びたらねぇよ!」
ノックは空気が読めない。たまにこう言うのが役に立つ時はあるけど…今は違うだろう。
「さっきのゲーセンに戻って遊ぶ?せっかくだからRさん達も行来ましょう。それとも…この後予定あります?」
「全然無いです!行きましょう!」
ノックの空気が読めないおかげで少しは場が変わった気がする。
カマさんにはまた来るからと伝えてさっきのゲーセンに戻る。
私は、フードを被りメガネをかけた。さっきのカラコンは捨てちゃったから、予備でメガネ持ってきといて良かった。
フードが大きめだから顔がスッポリと隠れるので良い。リーダーと一緒に選んだ甲斐があった。
「キル。勝負しようぜ!」
ゲーセンに着くなりノックに勝負を持ちかけられた。いつものことだけど…。
「じぁあ、せっかくだからチーム戦にしない?」
「チーム戦ですか?」
「せっかく8人いるんだから、4人1チームで分かれる。対戦内容は時間内にどれだけクレーンゲームの景品を取れるかで良い?」
ボムさんが提案を出してくれた。
「勝ったチームの褒美は?」
「そうだね〜。…負けたチームの景品を貰うのはどうかな?」
「良いですね。では、ノックと私のチームで分かれましょう」
と、言う訳で、この様になりました。
【チームノック ノック、リーダー、Rさん、陸さん】
【チームキル キル、ボムさん、ノックのお兄さん、涼さん】と決まった。
「制限時間は1時間。それではスタート!」
合図と共に動き出す。
「ボムさんは両替しといて、私は景品を取る。お兄さん達はコツを教えるので見といてください」
行き慣れているのでどのクレーンが良いのかはある程度把握済み。しかし、月に一度お店の人がアームの握力を調節する日がある。だから、先月とは何箇所か変わっているところがある。
「では最初はこの台にしましょう」
選んだのは山の様に積まれた沢山の小さな人形がある台。
「ここは簡単です」
できるだけ落とし口に近いところにある小さいカタマリを狙って確実に獲る。
「落とし口に近いカタマリをすくうといいですよ」
景品が滝の様に流れるので“ ナイアガラ落し”と名付けられている。
「では、実戦してみてください」
「どの台が良いんですか?」
「落とし口に人形が多いところです。横の台とかいいですよ」
早速2人は教えたことをすぐにするが上手くいかない。
「中々出来ない…」
「もう少しこっちじゃないですか?」
奮闘しているので口出しはせずそっと見守る。
こうか、こうではない、などと繰り返して、10回目ぐらいかその時に。
「で、出来た!」
「やった〜!5つゲット!」
うーん。初めて出来たにしては上出来かな〜?
「そう言えばボムさんはどちらに…?」
「ボムさんなら、別の台にいます」
ボムさんがいる台に案内する。
「…嘘でしょ。なにあの量」
「のこ短時間で…」
驚くのも無理ない。無双してるボムさんがやっているのはフィギュアがあるエリア。そして、ボムさんの足元に置かれている大量のフィギュアが…。また、売るのだろうか。
「今、輪っかに通さずに取ったんだけどアレどうやるの?」
「あ〜、アレはスキマフックです。その名の通り、箱の隙間にアームを入れるんです」
スキマフックをしなくてもヒモ掛けでも取れる。
さっき涼さんが言った「輪っか」は、「プライズタグ」とちゃんと名前があります。
「では、ボムさんは置いといて私達は別の台に行きましょう」
2人を連れて、極力難しくない台を選んで上げた
。
チーム戦なんてしなくても、私1人でも大丈夫なのに。
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