第9話

「リーダー本当にこれで大丈夫ですか?」


 私はあることに不安を抱いていた。


「大丈夫!どっから見ても可愛いから!」


「それはありがとうなんですが、目をどうにかしたい…」


 せっかくセットしてもらった前髪をいじる。目の色が気になって仕方ない。


「…」


「そんなに嫌なの?私は好きよキルの瞳」


 そう言ってくれるのは嬉しい。でもリーダー、昔負ったキズはそう簡単には消えないんです。



『咲良ちゃん目の色変!』


『お前、日本人じゃないから一緒に遊ばねーよ』



 ギュッと手に力が入る。


「…」


「それなら…、はい」


 リーダーが出したのは、コンタクトだった。


「コンタクト?」


「そうよ。でも、ただのコンタクトじゃないわ、色付きのコンタクトよ!」


 それってつまりカラコンですね。


 箱の説明を見ると、ちゃんと度数は入ってる。


「ん?待って下さい。リーダーはどうやって私の度数分かったんです?!」


 確かに眼鏡はしてるけど、度数までは教えたことない。


「ん〜。リーダーは何でもわかっちゃうのよ」


「そう言うモノなんですか」


「そう言うモノなの」


 箱を渡され、取り敢えずつけてみた。


 あーら不思議。目の色が黒色になりました。


「へ〜。こんなのがあるんだ」


 普通に見える。


「やっぱりカラコン無しの方が…」


「これで行きます」


「本当に?」


「はい」


 嫌われたくない。チームのみんなでさえ、初めて対面した時は眼鏡かけて、前髪で隠してたけど…。


「そんじゃ、男共に見せるわよ」


「えっ、ちょ」


 背中を押されリビングに連れてかれる。


「見てみて!キル可愛く出来たわよ!」


 ジャーンと大袈裟にしてアピールする。


「おぉ。可愛いよキル」


「ありがとうございます。ボムさん」


「フィアは本当に服選ぶの上手だよね」


「そんなことないわよ。キルの元が良いから」


 2人ばベタ褒めに褒めてくれる。かと言ってノックはジッとこちらを見つめるばかり。


「ノック。どこか変?」


「別に変ではないけど、何で短パンなんだよ!しかも、羽織るパーカーデカいし、後ろから見たら履いてないように見える!」


 途中オタク口調の様に早く喋り出した。


「えっと〜」


「それは私の趣味よ!」


 リーダーが自信満々に答えた。そう、大半はリーダーの趣味で成り立っている。私の要望も入れてはくれてる。


「こんなに脚スラッとしてて、出さずにはいられない!そこにタイツを履くことで形が見えて分かりやすいし、何より!エロい!」


「…」


 最後の言葉要らないよリーダー…。


「…ま、まぁ、リーダーがそう言うなら仕方ないよな」


 ほら、ノック引いてる。


 実はリーダーは…何て言うのでしょうか、その、可愛い子供が好きみたいで、私はまだまだ子供らしいです。


 お酒が飲める子供がどこにいるのでしょう?


「そろそろ、出よっか」


「はい」


「どこまで行けばいい?」


「今、地図送りました」


 私1人だと心配なので、みんなに後からついて行ってもらうことにしました。

 後ろから見守ってくれるので、安心してRさんとお話し出来る気がする!


「はい、着いたよ。僕は先回りしとくね。フィアとノックは見守っといてくれるから」


「わかりました。では行ってきます」


 車から降りて、まずはRさんに連絡を入れる。着いたことと、自分の格好を教えとく。


 集合に選んだ場所に来たけど、どこにRさんがいるのか分かんない。

 すると、携帯が揺れる。


R<キャップを被って、服はシンプルなモノを着て

  います。


 えぇっと、Rさんこんだけの説明やと私わからん。

 どうしよう。どうしよう。あっ!そうだ、フードを被ってるって送ったのに、実は被ってない。


 いけないと思い、フードを深々と被る。


 これで分かってくれるはず…。それでも分からなかったら…。


「Kさん?」


 呼ばれて体が反射的に震えた。


 お、男の人の声。どうしよう、どうしよう。でも、今「Kさん」って…。


 私は勇気を出して振り向いた。


「…初めまして、貴方がRさんですね」


 Rさんの姿をよく見ると、男性の平均身長よりも高く、体の形はとても綺麗だった。

 顔は、眼鏡とマスクを付けてるから上手く分かんない。


 ちょっとお喋りでどこに行くのか決めてないと言われさので、私はある場合を案内した。


 想定はしてたから、ボムさんが先に行ってくれてるし、リーダーとノックは後ろから見守ってくれてる。


「どこに行くんですか?」


「…えっと。思い出の場所です」


 私が初めてチームのみんなと遊んだ場所。

 きっとRさんも喜んでくれるはず。


「もうすぐです」


 道路を曲がった所にお店が立っていた。


「ゲームセンター…」


「はい。私の思い出の場所。そして、遊び場です」


 お金は100円玉を多く持ってきたので問題ない。足りなかったら崩せばさらに問題ない!


「今日は遊びましょう。会えなかったぶん」


 彼の手を引き店の中へと入った。

 

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