第5話

 大きなショッピングモールに入って買い物するのは良いけど…。東京、物価たっっっか!


 値段が可愛くない…。


「キル、これはどう?手頃な値段してるよ」


「ありがとうボムさん。これなら買えそう」


 ボムさんと2人で家電屋で洗濯機とか冷蔵庫を見ている。

 残りの2人は…。


「このゲーム面白そうっすよ。姐さん!」


「どれどれ…4人プレイまで可能。よし!買う!」


 他の棚に並んでるゲームを漁って見ている。

 楽しそうならええけどね。


 レジに行って、商品は宅急便で送ってもらうことにした。しばらくご飯は作れないからコンビニ弁当だ。


 にしても、人多いなぁ。


 歩いてると人に揉まれてみんなとはぐれてしまうほど人が多い。

 歩き回ってるとノックが「腹減った」と言い出したので時間を見ると、そろそろ腹の虫が鳴る時間だ。


「あそこの喫茶店に入りましょ」


 リーダーは近くにあった喫茶店に指をさし入って行った。中に入るとレトロな雰囲気のお店で、親子連れなどが沢山居た。

 席は奥の方にしてもらいメニューを決める。


「どれにしよう。これとか美味しそう!」


「俺は決めた」


「僕もある程度は決まってるよ」


「えっ!早い2人とも。キルはどれ食べるの?」


 リーダーに聞かれたので、自分が食べたい物を告げた。


「…メガMAXカレー」


「本当にそれ食べるの?」


「うん」


 制限時間までに食べ切れたら0円なんてお得すぎる。


「俺は手伝わねーぞ」


「別に良い。食べられる」


「それじゃ、注文するね」


 注文が入った瞬間、厨房からすごい勢いで料理をする音が聞こえた。きっと料理人さんたちが凄い必死になって作っているに違いない。


 次々とみんなの料理が運ばれ、最後に私が頼んだものがやって来た。

 目の前に置かれたのは皿いっぱいのカレー。上にはハンバーグ、目玉焼き、ソーセージなどが盛られていた。


「では、制限時間は1時間です。お客様がスプーンを取りましたらスタートです」


 食べる前にしっかりと説明を受けた。


「いただきます」


 スプーンを手に取り、カレーを一口いただく。


「…あっ。辛い」


 辛いと言っても中辛ぐらいで、対して辛くはない。たぶん。


 一口一口小さいがどんどん食べ進める。顔に多少の汗をかいて食べ、30分過ぎた所で。


「ごちそうさまでした」


 あっと言う間に完食してしまった。

 満足感はある。味も申し分ない。


「マジで食いきった…」


「美味しかった」


 他の3人は食べながら私の様子を見ていた。ボムさんなんて「大丈夫?無理しないでよ」とか言ってはったけど、私って案外食べる方だ。


 タイムを見ていた店員さんは女子が1人で食べれるとは思ってもいなかったららしく、口を開けて立っていた。


「よし。そろそろ行きましょう」


 リーダーの一言でみんな席を立ち、会計を済ませた。

 私は食べきったのでタダだ。


 買い物して、ご飯を食べた後は…。


「やっぱゲーセンだな!」


「ノック静かに。うるさい」


「別にいいじゃねぇかよぉ。俺よりもゲーム音の方が大きだろ」


 遊ぶこと。それはゲーマーの私達にとってはゲーセンは天国の様な場所。


 家では出来ないゲームが沢山ある。


「なぁキル。久しぶり叩こうぜ」


 ノックが私の服を引っ張ったと思ったらゲームのお誘いだった。

 誘ってくれたのは太鼓の達人。老若男女楽しめるゲーム。ガチ勢の人はマイバチを持っている人とかもいる。


「…いいけど。勝ったら何してくれる?」


 ただするだけでは面白くない。何か賭けて緊張感を持ちたい。


「んーー、あ!負けた方は勝った方がやりたいクレーンゲームの金を出すなんてどうだ?」


「いいよ」


 機械の前まで行き、お金を入れた。好きな曲を選んで、レベルを選ぶ。もちろん“鬼”を選んだ。


 それにしても、こないだもコレで勝負した気がする。

 そう思いノック顔を見た。その顔はまだ始まってないのに勝ち誇ったかのような感じが滲み出ていた。


 こいつ。練習してんな。


 こないだ負けて悔しかったのか、リベンジして挑んで来てる。


 これは手を抜いたら怒られそぉ。なら、こっちも本気出さんとな!


ーフルコンボだドン!

ーフルコンボだドン!


「やったー」


「なんでだ!」


 互いにフルコンボだけど、この時はどれだけ“良”が出たかを見る。


 それの数を見ると私の勝ちだ。


「くそ!あんなに練習したのに!」


 悔しそうに地面へ倒れ込む。


「てことで、ありがとうノック」


 私は満面の笑みでそう言ってあげた。


 さーて、景品いっぱい取るぞー。おー!


 そして私達はゲーセンを満喫し、外が暗くなったので、リーダーとボムさん家に行くことになった。

 ちなみにリーダーとボムさんは夫婦。今年で結婚暦7年目。


「さーて、遊ぶわよー!」


「今日の放送は『みんなで飲み配信!』」


「やっと念願のみんなで飲み配信が出来る!」


「俺今から酒買ってきます」


「お願い!」


「では、私はつまみ類でも作ります」


「ありがと〜」


 それぞれすることを決めて、配信時間までに動く。


 私は勝手に冷蔵庫の中を漁る。えっ?大丈夫かって?全然大丈夫。いつものことだから。

 こうやってみんなで夜遊ぶ時は基本私が料理担当だから。


 さーて。何があるかなぁ。


「これと、これと。後はこれ」


 適当に野菜や冷凍食品を取り出して、レッツクッキング!


 まず取り出したのはほうれん草。綺麗に洗って沸かした鍋の中に入れ湯がく。湯がく時は茎からその後に葉の部分を入れてく。

 湯がかったら水に晒し、一口サイズに切って水を良く切る。

 そしたらフライパンに油を引いて、スライスニンニク、湯がいたほうれん草を入れ炒める。

 ポイントは先にニンニクを入れて少し焦がすことだよ!

 お皿に盛って。完成!『ほうれん草のニンニク炒め』。


 作った料理はつまみ食いされないように、視界に入る場所に置いておく。


 後は、オーブンで作るフライドポテト。シイタケの炙りマヨネーズ(醤油ちょっと)。野菜炒め。


「…作り過ぎた」


 つい調子に乗って作り過ぎてしまった。


 まぁ、あの人ら何やかんや言って食べれくれはるし。それに…毎回美味しいって言ってくれはるし。


「買ってきたぜー」


 あ。ノック帰ってきた。


 盛り付けた料理をみんなの前に出した。調味料も一様持って行く。味変とかしたいからね。


「はい。ちょっと作り過ぎた」


「そんなの気にしない!だってキルの料理は美味しいから関係ない!」


 早速頬張るリーダー。


「ん〜!美味しい!」


「フィア配信始まってるのキルに言ってもないよ」


 えっ!もう配信始まってるの!


「リーダー?」


「あはは。忘れてた」


「俺達は挨拶済ましたから後はキルだけだせ」


 マイクの前に近づき軽く挨拶をした。


「皆さんのこんにちはー。キルです」


「普通だな」


「ノックうるさい」


 お決まりの流れでゲームを始める。

 

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