第3話
4月25日。この時、私は人生で最大に、生命の危機を感じた。殺人とかではなく、心臓が異常な程、うるさく鳴くからだ。それには絶対的な理由がある。それは秋だ。
時は遡り、3日前。
「今日こそ、秋に告る!」
「それ聞くの5回目なんだけど。」
私に声に反応したのは一緒に下校していた青だった。
「…だってぇーーー」
ズバリと告白しようとして逃げてるという事実を言われ言い訳をこぼす。
「だってじゃねぇよ。お前さ、決めたんだったらちゃんとやれよ。」
「………………すいません。」
このようなくだりを過去5回ほど繰り返している。全く情けない。自分のことだけど。
「いや、でも今日は絶対言うもん!もうケジメつけないとだし!下校の時に言う!」
そういうと、青は鼻で笑った。
「あんま、期待してねぇからー」
「酷い!」
下校時。
秋と私たちとの通学の分かれ道であるお社にまで到達したが未だに気持ちを伝えていなかった。
(まずいーーー!!)
焦る気持ちの中、歩いていくごとに伝えなければならないという思いと恥ずかしさという思いが体の中で戦いがおこっていた。ついに別れの挨拶をする直前、顔を真っ赤にしながら私は秋に向かって叫んだ。
「あきー!ずっと前から好きだった!」
その言葉を出すのが私の限界でその場から急いで立ち去った。私に付いてった青も手を引いて上り坂を急いで駆け上がる。ついに言った!という達成感ともう、今までのようにはいられないのだという寂しさで胸がいっぱいだった。一方、青はようやく気持ちを伝えた私に対してなんとも言えない表情で見てくる。無事に帰宅し、なんとも落ち着かない気持ちで眠りにつこうとするも、余計な気持ちが邪魔して寝れず、告白が失敗して複雑で気まずい関係になるよりもなかったことにした方が良いと考えた私は、秋になかったことにしてもらうことにした。
朝起きると目覚めは最悪で、とにかく胃の調子が優れなかった。
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