二話
──魔王の謁見──
魔王『ガハハハッ、よくぞここまでたどり着いた。』
1P『平和を取り戻すため、お前を倒させてもらう!』
魔王『やってみろ。我に勝てるかは知らんが。負けたときは貴様の側近を渡してもらうぞ。」
1P『負けなければいい話だ!』
魔王『そうか。では、いざ勝負といこうじゃないか。』
和人とさくらは見事に目の前のゲームにのめり込んでいた。
ここまでざっと四時間。RPGにしては以外と短かいストーリーだった。だが短いわりに内容も凝っていて、二人とも時間を忘れて続きを進めていた。今は最終ストーリーの魔王戦だ。こいつを倒せばこのゲームはクリアする。
魔王『よくぞここまで耐えた。我が最終必殺を見せるとしよう。さらばだ。〈エンドダストストーム〉!』
《HPが0になりました》
1P『なん……だと……』
魔王『ガハハハッ、矮小な弱小生物が。我に挑むとは1000年早い! ふむ、では約束通り貴様の側近を渡してもらおう。』
《魔王はあなたの側近、2Pをさらっていきました》
そのメッセージが表示されると同時に、プツンッとゲーム機の電源が落ちた。
「ふぅ、いつの間にかかなりのめり込んでたな。ストーリーもかなり凝っててやりがいもあったし。てか最後の攻撃強すぎるだろ。もっとレベル上げた方が良かったのか? いやそれでもあの攻撃は耐えれそうにないし……無理ゲーか……どうだった? さくら、楽しかったか? ってあれ、さくら?」
和人が横を見ると、そこには先程まで一緒にプレイしていたはずの妹がいなかった。
「あれ? トイレにでもいったのか?」
だが物音も何もない。そこにはただの静寂だけがあった。先程まで隣にいたさくらの温もりも何もない。
「まあいつか戻ってくるか」
そう言って和人はその場を離れ、水を飲みに行った。
それから数時間後。親も返ってきて、晩飯の時間になった。
「和人? さくらはどこ?」
「え、まだいない?」
「まだってどういうことよ。いつまでいたの? それにそのゲームは何よ。早く片付けなさいよ」
「え、ああ、まだ片付けてなかったか。それよりさくらはマジでどこにいったんだろう……こんな時間になっても帰ってこないなんて……」
和人はゲーム機を直そうとしてテレビに繋いでいたコードに手を掛けた。
2P『おにい……ちゃん…………たす、けて……』
「ん? さくら? いや気のせいか」
家に見知らぬRPGゲームが届いた。 穏水 @onsui
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