第12話 ミナトの性格の変化の秘密と大切な相棒!
ミナト達は、のんびり休憩をしていると、ドンとジェフとタリアは、それぞれの鞄から干し肉を取り出して齧りだした。
「ミナトも食うか?」
「え?いいのか?ありがとう」
ドンから、干し肉を差し出されたので、見様見真似で食いちぎろうとしたが、固すぎてなかなか食いちぎることが出来ない。
「固ぇだろ?俺ぐらい歯が頑丈じゃないと、あいつらみたいにずっと
タリアとジェフは、ムニャムニャと猫のように
ミナトは、せっかく貰ったので口には出さないが、味も良くなく雑味というか獣独特の臭みがあるなと感じていた。
「口の水分が、すぐなくなるな。ちなみに、何の肉?」
「携帯食がこれしかないんだが、遠征時は難儀するぞ!まずいし、水は常時必須のクソ携帯食と呼ばれてるな。ちなみに、狼系の魔物の肉だ」
ミナトだけが、そうだと思っていたが、冒険者全員が我慢して食べているようだ。
「なんで、これ以外の携帯食を作らないんだ?常時水が必要な携帯食とか困るだろ?」
「一番は、金だな。Bランクの俺達でも依頼料をパーティーで分けたら3日で使い果たしまうくらいだ。それ以下だと、その日暮らしもままならんやつもいる。そんな現状で、携帯食に金をかけてられんだろ?」
全員が、AランクやSランクの高ランク冒険者であれば、高い携帯食が存在していれば、大盤振る舞いで買うのだが、低ランク冒険者の方が多い現状、安い携帯食になってしまうのは仕方のないことだ。
しかも、改良を重ねて手間をかけて採算が取れない携帯食に手を出す人もない。
「そうか。そう言われたら作る意味がないな。悪い。冒険者になったばかりで、当たり前のことを聞いてしまったみたいだ」
「いや、気にするな。そういうのも含めて教えていくのが、先輩冒険者の務めだ!だが、荒くれ者も多いから、聞く相手は慎重に選べよ。それじゃ、休憩は終わりだ」
ドンは、今までにも数々の新人を教えてきたのだろうなと窺える余裕がある。しかも、教えることを全く苦にしていない辺りにミナトは見習わなくてはと思った。
そして、ドンの号令とともに、ジェフとタリアは、素早く荷物をまとめる。
それからタリアは、先程と同じように先行して、様子を見に行った。
『ご主人様、いつかドンさんに何かお礼をしなくてはいけませんね。日本では、人に恵まれませんでしたが、この世界では恵まれているようです。ですので、人との繋がりを大切にしてください』
ミナトは、この言葉を聞いて、やはり性格の一部と環境を変わったことを、何かナノは知っているのではないかと思った。
『そうだな。何がいいか。考えるか。それより、ナノ......俺の性格が変わったことと人に恵まれるようになったのは、ナノが関係しているのか?』
『え〜と、性格を変えたわけではなく、元々のご主人様の性格に修正したというのが正しいです。日本にいた時の人前での振る舞いは、コンプレックスと環境によるものでした。それから、今恵まれている環境には手を加えていません』
人は、ちょっとした生活環境や人間関係で性格が変わってしまう。その影響を長年受け続けたミナトは、容姿のコンプレックスも含めて、人前ではオドオドしたりうまく話すことが出来ずにいた。
しかし、ナノマシンであるナノの力によって脳の一部を変えたことにより元のあるべきミナトに戻ることができた。
『ハハ、そういうことか。はぁ〜、腹を決めてここに来た俺だからよかったけど、普通なら修正されたとかインストールされたとか言われた怖くなって自殺しちゃうからな。でも俺は、ナノに感謝してる。ありがとうな』
ミナトは、この世界に来た時は、驚きはしたものの、日本での苦しみや孤独な人生を考えた時に、嬉しさと生まれ変わった気持ちになった。そして、数日ではあるが、楽しいことや普通なら体験出来ない経験が出来てナノに感謝していた。 しかし、日本で家庭や友達や恋人がいる人間が、この状況下に陥れば自暴自棄になるだろうということをナノに伝える。
『そうですか......なら、余計にミナト様がご主人様でよかったと思います。でなければ、ナノが作られた意味がないですから。それと、環境は作るものです。私も手伝いますから、ご主人様にとって最高の環境にしましょう』
『ナノ、ありがとうな。俺も、相棒がナノでよかったよ。そうか、環境は作るものか!そうだな!これからも、よろしく頼むな』
ミナトは、ナノの言葉を聞いて涙が出そうになる。そして、今までは周りのせいにしていたが、環境も自分の努力次第で変えることが出来ると改めて理解した。そして、更にナノという強力な相棒のお陰で、ミナトは自信に満ち溢れた気持ちになる。
『はい!ご主人様!ナノは、いつもご主人様の味方です。そろそろ、偵察に行ったタリアさんが戻ってきます』
ミナトは、ナノと短い付き合いだが、一緒にいればいるほど、不思議な存在であり、聞きたいことが山程生まれてくる。だが、今はまだその時ではないと、これ以上質問するのをやめるのだった。
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