刃物持ち

「まぁ、受けたなら及第点か...」

「何言ってるニャ! 壊人をも切り裂く忘熱線を受けたのニャ! もっと褒めニャ!!」

「ふん。擬忘熱でこのザマだ、本物貰ったら簡単に死ぬわ...」

「そんな簡単に死ニャんわ!!」



 突然隊員に攻撃仕掛けたかと思えば、今度は隊長と副隊長で言い合い...


 大丈夫か?... この部隊.......



「おいテメェら...」



 あ、花咲がキレてる....



「いきなり何しやがんじゃボケェ!!!」

「じ、実力を知りたかったんニャ... ご、ごめんニャぁ... 許してニャ♪」



 決めポーズネコ。



「じゃあかしぃ!! ババアは引っ込んどれぇ!!」

「だッ、誰がババアニャ!!!!!!」



 ネコパンチ☆


 花咲、一発KO。


 ☆彡⋆ ☄︎. ·˚ *✰=͟͟͞͞ ✰=͟͟͞͞



 アレは星飛んでるな.......



 枯木、花咲を回収。



「連れが失礼した... すまない副隊長...」

「全く... 失礼しちゃうニャ...」



 域が前に出てきた。



「貴様ら。今の三級基礎二を通して、何が分かった」



 だんまり。



「誰も。何も。分からなかったと...」



 三級基礎二って何だ......



「ッ.... 無能共が...」

「ジンにゃん。三級基礎二は死語ニャ。」

「何だと...」



 無能はどっちだ......



「対LEVEL4って言ったら、みんな分かるニャ?」



 対四基礎訓練.......


 ってか、知らん言葉で説明した挙句、無能呼ばわりとは...


 とんだ老害じゃねぇか....



 アイリスが一言。



「私は最初から分かってたよ。人刃だから...」



 枯木。



「ほとんど全員が、刃物持ち.....」



 絶望を噛み締めた様な苦い感情が、何者からか発せられた。


 刃物持ちや人刃からは、この感情の波が発せられない。


 よって、おそらく震源は....


 刃物持ちは、全員、気付いていた。



 この感情の波があのジジイから発せられていると。


 何を思う、域仁.....



「エヴォルオン・ハート... 前へ。」

「!?」



 偽名で入隊した筈ッ...

 何故昔の仮名がッ...


 枯木・花咲・雨音・可美が、何故か俺の方へ振り向いた。


 ッ......


 渋々、前へ。



 花咲と枯木。



「ア、アイツが姐さんのッ....」

「待て花咲ッ.... 聞いてた話と違うぞッ....」

「俺と同じ位の若造やんけッ.....」



 誰が同じ位だジジイ....



 雨音と可美。



「あれがッ.... エヴォルオン・ハートッ...」

「花咲姐のッ.....」



 花咲姐だと..........



 域。



「英雄の次は伝説か... 随分な嫌われ様だな...」



 この男ッ.......



「よろしい、下がれ」

「!?....」



 何が目的だ... このジジイッ...



「さぁ、振るか.... 鏡音。」

「何ニャ。先見の最良に任せた方が良い筈ニャ」

「最良が最良なのは、その瞬間だけだ。それぞれの一生は、我々の想像よりも複雑に絡み合っている」



 言い負かされた事が悔しかったのだろうか。


 猫又少女は少しだけ頬を膨らませていた。



「じゃあ、決めるニャ...」



 そうして猫又少女は、地に手を着いた。



「白炎」



 白炎。

 全恋愛解体員中、鏡音ノネコのみが唯一扱える能力。

 愛呪から奪い取った・愛呪を喰らって得たなどなど、噂の絶えないその能力の詳細は、今だ謎に包まれている。



 地に放たれた白き炎は、その身を十字に切り分けた。


 四つに分かたれた炎は、その尾と頭で、新入りを二名ずつに繋いだ。


 そうして地面に跡を付けると、白炎は姿を消した。

 


「決まりニャ。まず、アマにゃんと組むのは、サクにゃんニャ」

「さくにゃんってのは、俺かいな?」

「ア、アマにゃんッ.....」



 花咲桜、雨音歩ペア。成立。


 歳の差よ......



「カミにゃんと組むのは、カイにゃんニャ」

「よろしくな坊主。さっきは助かった」

「お、お茶目なお嬢さんだなぁッ....」



 可美京介、枯木灰ペア。成立。


 まぁパッと見、兄妹..........



 首、120°回転。


 枯木がこちらを睨んでいる。



 な、何も思ってませんよぉ........


 思わず手で視線をシャットアウト。



「アオにゃんと組むのは、ナガにゃん。」

「.....」

「ま、待ってくれ! アイリスは人刃だ! 俺が近くに居なきゃ...」



 無表情猫。



「問題ニャイ。その辺は私が対応するニャ」

「だがッ――」

「――最後のペアニャ....」



 人刃の存在は、鞘によって保証され、鞘によって担保されている。


 つまり、アイリス・クリスタは、半田流から離れられない。



「エヴォにゃんと、アイにゃん。君達が最後のペアニャ」



 この死人人刃は、人刃が鞘から離れるための術を、知っているのだろう。



「よ、よろしくお願いします!」

「あぁ、よろしく...」

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