第四十三話 事件は唐突に②

「どうしましょう、オズ様……わた、わたしっ!!」


「とにかく今は急ごう!!」


 と、ミーシャの言葉に対してオズは返す。

 さて、そんな二人は現在病院へと向けて全力疾走中。

 その理由は簡単だ。


 先程、オズたちの元に走ってきたあの女性。

 彼女がオズたちに——いや、厳密にはミーシャに伝えたことが問題なのだ。

 彼女が伝えた内容とは。


 ミーシャの妹——アリサの容体が急変したのだ。


(俺たちが宝箱を開けていた頃、急に吐血して倒れて意識不明って……そんなの落ち着いていられるわけがないっ)


 しかも女性の話によると、アリサはいつ死んでもおかしくない状況らしいのだ。

 故に。


「わ、わたしはいったい、どうしたらっ」


 と、走りながらも心あらずな様子のミーシャ。

 きっと、アリサのことで頭がいっぱいに違いない。

 オズはそんな彼女へと言う。


「ミーシャ、少し落ち着いて!」


「で、でも!!」


「俺たちがここで慌てても仕方ない! 今は少しでも早く足を動かそう!!」


「っ……はい!」


 と、言ってくるミーシャ。

 それと同時、オズたちの前にアリサが入院している病院が見えてくるのだった。

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