第四十話 そうして時は過ぎ

 あれから一週間ほどが経った。

 オズたちの冒険は順調すぎるほどに順調に進み。


「〜♪」


 と、ご機嫌な様子でオズの横を歩くミーシャ。

 さてさて遅れたが。


 場所はダンジョン十層、ボス部屋。

 現在、オズとミーシャはボス部屋の出口へ向けて歩いている最中だ。

 その理由はもちろん。


(まさかこんな簡単に十層のボスを倒せると思わなかったな)


 はじめてのボス戦ということで、それなりに心配はしていた。

けれど、蓋を開けてみればミーシャの圧勝。


(この調子なら本当に行けるかもな……)


『魔王の迷宮』の奥深く。

 誰も到達したことない『魔王の遺産』があると言われるその場所に。


 などなど。

 そんなことを考えている間にも、やってきましたボス部屋の出口。


「それじゃあ、開けますね!」


 と、言ってくるのはミーシャだ。

 そんな彼女は鉄製両開きの大扉を、なんとかといった様子で開く。

 すると見えてきたのは。


「わぁ〜すごいです! 五層にあったポータルと違って、大きくてなんか豪華です!!」


 と、そんなミーシャの言う通り。

 まるで祭壇のようにも見える巨大なポータルだ。

 さらに。


「オズ様、見てください!! あれは……宝箱、宝箱です!!」


 と、言ってくるミーシャ。

 そう、ポータルの前に豪華な箱が置かれているのだ。

 オズはそれを見たのち、ミーシャへと言う。


「モンスターからのドロップとは違って、ボスを倒した次の部屋には、こうして宝箱が出現するんだ——理由はボスがパーティー毎に復活する仕組みと合わせて、未だ解明されてないけどな」


「へー、そうなんですね! さすがオズ様です、なんでも知っています!!」


「気が早いかもだが、早速開けてみるか?」


「はい!」


 言って、なにやらムズムズしている様子のミーシャ。

 オズはそんな彼女へと言う。


「開けたいなら開けていいぞ」


「べ、別にわたしはその……い、いいんですか?」


「あぁ。前言った通り、この階層のボスは倒したことがある。それに今回活躍したのはミーシャだ。だったら、ミーシャが宝を受け取った方がいいだろ?」


「うぅ……ですが」


「ほら、いったいった」


 と、オズはミーシャの背中を押す。

 するとたたっと、押し出され宝箱へと近づいていくミーシャ。

 彼女は宝箱の近くまで行くと振り返り。


「オズ様、ありがとうございます!」


 言って、宝箱を開くのだった。

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