第四十一話 はじめての宝箱

「オズ様、ありがとうございます!」


 言って、宝箱を開けるミーシャ。

 彼女は宝箱の中にあるものを取り出し——。


「オズ様、見てください!! 杖です!!」


 と、そんなことを言ってくる。

 見れば、その杖はだいぶゴツイ。


 現在、ミーシャが持っているのは木製の杖。

 しかし、宝箱から出てきた杖を。


「うぅ……鉄製で先端がメイスみたいになっていて……ちょっと重いかもです」


 と、困った様子のミーシャ。

 オズはそんな彼女へと言う。


「今までの杖が軽かったから、違和感があるかもな。でも、今後はそっちの杖を使った方がいいかもしれない」


「それはどうしてでしょうか?」


「前提として、ダンジョンで手に入れ武器はかなり性能がいい。ほぼ確実に、ミーシャが持っていた杖より優れた性能を持っている」


「つまり、もっと優れたヒールを使えることができるようになる……ということですね!」


「そういうこと」

 

「それでしたら、こちらの杖を使います! それでその……できたら、他の理由も聞きたいのですが」


 と、言ってくるミーシャ。

 オズは頷いたのち、そんな彼女へと言う。


「これは単純な話なんだが」


「な、なんだが……(ごくり)?」


「木製の杖より頑丈だ」


「!!」


「『腹パン』した後のミーシャは、杖や素手での戦闘を多くすることなる。となると、木製の杖より鉄製の方がよくないか?」


「そうです! 考えてみればその通りです!!」


 と、心底驚いたと言った様子のミーシャ。

 こういう素直なところも、彼女のいいところだ。


 などなど。

 オズはそんなことを考えたのち、ミーシャへと言うのだった。


「さて、それじゃあ今日はこの辺りで帰るか」

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