第三十九話 腹パンとお見舞い終了

 時は夕方。

 場所は病院前。


「オズ様! 今日はアリサのためにありがとうございました!!」


 と、言ってくるのはミーシャだ。

 彼女はオズへとお辞儀したのち、再び彼へと言葉を続けてくる。


「ずっと冒険者の話をしてくれて……アリサ、とっても楽しそうでした!」


「俺も楽しかったよ。人に自分の冒険を語って、それを嬉しそうにその人が聞いてくれるとさ——なんか新鮮な気分だった」


「そう言っていただけると嬉しいです! わたしは途中から、オズ様が話疲れないか心配でしたけど……アリサ、ずっと質問し続けていたので」


「そっちも大丈夫。あれくらいじゃ疲れたりしないよ。それにさっきも言ったけど、楽しかったから疲れなんか意識する暇もなかった」


「えへへ……オズ様をアリサのお見舞いに連れて行ってよかったです!」


 と、胸元で手を組むいつものポーズなミーシャ。

 彼女はとても楽しそうに笑っている。

 オズはそんな彼女へと言う。


「お見舞いくらいなら、いつだって付き合うよ……もしミーシャとアリサがよければだけど」


「いいに決まってます!! わたしも、アリサも大喜びです!! あの……それと、図々しいのですが一つお願いが」


「お願い?」


「パーティーを……」


「?」


「アリサの病気が治ったら、三人でパーティーを組んでくださいませんか!?」


 と、緊張した様子で言ってくるミーシャ。

 けれど、オズからしてみればそんなの論外だ。

 故に彼は彼女へと言うのだった。


「むしろ、こっちから頼みたいくらいだよ」

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