第三十四話 腹パンとお見舞い③

 時はあれから少し後。

 場所は広場から離れた場所にある病院。

 現在、オズはミーシャの案内で、そこにある病室——その扉の前へとやってきていた。


「ここがアリサの病室です! でもよかったです……」


 と、すっかり落ち着いた様子なのはミーシャだ。

 先ほどまで、妹であるアリサの体調不良を気にしてソワソワしていた彼女。

 そんな彼女が冷静な様子になっている理由は簡単だ。


「アリサ、いつものちょっとした発熱みたいです! それにもうすっかり下がって元気だって……受付のお姉さんが教えてくれました!」


 と、胸元で手を組んでお祈りポーズのミーシャ。

 要するにそういうわけだ。


(もちろん妹さんが元気になったのも嬉しいけど、俺的にはミーシャが元気になってくれたのが大きいな)


 ミーシャはいままで普通にしていた。

 けれどここにくるまで、ミーシャは明らかにソワソワしていた。


 例えば定期的にオズに「アリサは大丈夫でしょうか?」と聞いてきたり。

 それはもう露骨だった。


(まぁ、実の妹のことだから心配に決まってるから)


 などなど。

 オズがそんなことを考えていたまさにその時。


「それじゃあ、わたしは先に入ってオズ様のことを説明してきますね!」


 などと。

 ミーシャは病室に入っていくのだった。

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