第三十五話 アリサ・ライゼス

「オズ様、もう入ってきて大丈夫です!」


 と、病室から聞こえてくるのはミーシャの声。

 オズはそんな声に「あぁ」と答える。

 そしてオズは——。


 コンコン。


 と、病室の扉をノックする。

 すると。


「は、入りなさいよ!」


 と、聞こえてくるミーシャとよく似た声。

 きっと、その声の主こそがアリサに違いない。


 などなど。

 オズはそんなことを考えながら、病室の中へと入っていく。

 するとそこにいたのは。


 ベッドの上で上半身だけ起こし、オズの方をキッと睨みつけて来ている少女。

 ミーシャとよく似た顔立ちだが、ミーシャよりもやや小柄——真っ白な髪をショートツインにまとめたその少女。


「なによ! なに見てるのよ!!」


「こらアリサ! ちゃんとご挨拶してください!」


 と、少女ことアリサへというのはミーシャだ。

 するとアリサは「うぅ……」と言ったのち、渋々と言った様子でオズへと言ってくる。


「はじめまして……」


「こちらこそはじめまして」


「……」


「……」


 なるほど、気まずい。

 こういう時は、ミーシャに助けを求めるべきに違いない。

 と、オズがそんなことを考えた。

 まさにその時。


「あ、あのさ……」


 と、聞こえてくるのはアリサの声。

 彼女は恥ずかしそうな様子で、オズへと言ってくるのだった。


「お姉を助けてくれて、その……あ、ありがと」

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