第三十三話 腹パンとお見舞い②

「なんでお見舞いに俺も呼ばれたんだ?」


 と、オズはミーシャへと言う。

 すると、ミーシャはオズへと行ってくる。


「はい! お詫びです!!」


「えっと、すまん。どういうことだ?」


「今日はダンジョン探索をドタキャンしてしまったので、オズ様にそのお詫び——アリサのお見舞い権をプレゼントです!」


「……」


「アリサはとっても可愛いので、きっとオズ様も癒されます!!」


 なるほど。

 どうやら、ミーシャはシスコンに違いない。

 まぁ、姉妹仲がいいのは悪いことじゃない。

 

 などなど。

 オズがそんなことを考えていると。


「あ、でも一つだけ気をつけてください!」


 と、オズへと言ってくるミーシャ。

 彼女そのまま、彼へとさらに言葉を続けてくる。


「アリサはちょっと気が強いというか、照れ隠しで乱暴なことを言う時があるんです。もしアリサがそういうモードに入っても、わたしに免じて許して上げてあげてくださいね——距離感を図りかねて照れているだけだと思いますので! それさえ乗り越えれば、アリサはとっても素敵で可愛い子なんです!!」


「お、おぉう……」


 ミーシャの妹への愛。

 というか熱量はなかなかやばそうだ。

 色々な意味で失礼のないように気をつけよう。


「さぁ、行きましょう! オズ様!!」


 と、オズの手を掴んで引っ張ってくるミーシャ。

 彼は半ば彼女に引きずられるように、広場から病院がある方へと進んでいくのだった。

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