第三十一話 腹パンの帰還

「お、オズ様……どうしましょう!!」


 と、打って変わって慌てた様子のミーシャ。

 彼女はたたっと、オズの方へと駆けてくると、そのまま彼へと言葉を続けてくる。


「つ、ついやってしまいました……」


「え、なにを?」


「お、お金を踏み倒してしまいました!! しかも暴力で、こんな……わ、わたし、最低です!」


「……」


「オズ様が馬鹿にされてるのを聞いたら、身体が勝手に動いてしまって」


「……」


「うぅ……オズ様は逃げてください! 捕まるのはわたしだけで十分です」


「……」


「オズ様。もしよろしければ……どうか、どうかアリサのことを気にかけてあげてください!」


「……」


 なるほど。

 ミーシャさんこれ、相手が犯罪者って気がついてなくないか。

 というかむしろ。


(役人とかが、ちゃんと通行量取っていたと思ってないか?)


 これはさっさと誤解だと教えてあげるべきに違いない。

 オズはそんなことを考えたのち、ミーシャへと言うんだった。


「まぁ、とりあえずポータルから外に帰ろう。帰りがてら、さっきの奴らのことについて教えるよ」

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