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◆◆◆


4月10日


今日は各委員会を決めた。

保健室から帰ってくるとくじ引きが終わっていた。

俺がいない間にくじをするなんて田畑せんせーひどい……。

しかも残ってた2枚が、委員長と副委員長なんて横暴だ! 先生の悪意を感じる!

こういうくじ運だけは人一倍いい俺は……まさかの学級委員長になってしまった……。

ちなみに女子の副委員長は竹中っていう子だ。

廊下で少し話をしたけど優しそうな子だった。

……ちょっとわいかったしラッキー。

これなら1学期の間がんれそうかな。

なるべく迷惑をかけないように俺も頑張ろう。


 机の上に置いた日記帳を見つめる。最後に日記を読んだあの日から、一週間が経とうとしていた。

 あの日……目が覚めて日記の中身が変わっていることに気付いた私は、それからこの日記帳を開けないでいた。

「どういうことなんだろう」

 日記の中身が、夢で見た内容に変わっている。そして、それに合わせて現実の記憶も変わっていた。

 ──私の記憶以外。

「どうしたらいいんだろう」

 自分自身に問いかけるけれど……本当は、とっくに気持ちなんて決まっていた。

 日記帳がこわい、気持ち悪い──そんなことよりも、もう一度新に会える。それしか考えられなかった。

 これがあれば、もしかしたらあの頃より上手に新と過ごせるんじゃないだろうか。

 これがあれば、もしかしたら──別れない未来があるんじゃないか。

「新……」

 何度同じことを考えたかわからない。結論はいつだって同じところにたどり着く。なのに……今日もまた日記帳を開くことができないまま、私は眠りについた。


「……朝だ」

 日記帳を開かなくなった日から、当然のことながらあの不思議な夢は見ない。

「やっぱり日記帳……だよね」

 久しぶりに新に会えたことが、余計に新へのおもいをつのらせる。

「どうしたら、いいんだろう……」

 今日も答えが出ないまま、私は準備をして家を出ると、いつものように学校へ向かった。

「おはよ、旭。ってどうしたの、その顔」

 教室に着くと、深雪がいつものように声をかけてくれる。

「おはよう。……どうしたのって?」

「なんか……つらそうな顔、してるわ」

「そうかな……」

「そうよ!」

 普段通りにしているつもりなのに、いつだってこの親友にはかなわない。

「……今日ってひま? よければ帰りにお茶していかない?」

「──うん」

 ありがとう、と言った私に、

「お礼なんかいいから、さっさと元気になりなさい」

 そう言って小さく笑うと、深雪は自分の席に座った。


「で、何があったの?」

「……うん」

「──言いにくいこと?」

「…………」

 言いにくい、というよりは……どうやったら信じてくれるんだろう、という気持ちでいっぱいだった。

 もし私が深雪の立場で同じ話を聞かされたとしたら……好きだった人が死んだショックで気が変になったと思うかもしれない。

「……私、本当は気付いてたの」

「え……?」

 とうとつに、深雪は言った。

「旭が、新のおそうしきに行った後からなんか変なの、気付いてたの」

「深雪……」

「だからさ、なんだって受け止めるから。この深雪さんに話してみませんか?」

 ──重い雰囲気をやわらげてくれる、深雪のこういうところに私は何度救われてきただろう。

「笑わない……?」

「笑わない」

「絶対……?」

「絶対」

 きっぱりと言う深雪を見て……私は先日から起きている不思議な現象を話し始めた。

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