今度こそマリアと幸せになります
15歳の誕生日後も、何度も王族や貴族たちと一夫多妻制に関する話を進める。会議を進めるにつれ、一夫多妻制の廃止に賛成してくれる貴族も増えてきた。
そして、マリアの誕生日を1ヶ月後に控えたある日。
「それでは、一夫多妻制廃止に賛成の者は、挙手を」
大会議室に集まった貴族はもちろん、父上も母上も挙手をしてくれていた。
「それでは、満場一致で王族の一夫多妻制を廃止する事が決まりました」
僕の訴えが、やっと受け入れられた瞬間だった。その場で大きな拍手が沸き上がった。さらに今いる王子や王女たちにも、望む者には爵位と小さいながらも土地を与える事で話はまとまった。
「ヒューゴ、これで心置きなくマリア嬢と婚約が出来るな。レィークス侯爵、マリア嬢の誕生日に合わせて、ヒューゴと婚約を結んでもらってもいいだろうか?」
「もちろんです。陛下。娘も殿下との婚約を心待ちにしております。ヒューゴ殿下、どうかマリアの事を、よろしくお願いします」
僕と父上に深々と頭を下げるレィークス侯爵。他の貴族たちも、僕がマリアを愛している事を知っている為、温かい目で見守ってくれている。
「それでは、今日の会議はここまでにする。皆の者、長い間ご苦労だったな」
父上の言葉で、会議終了だ。貴族たちも続々と帰っていく。僕も会議室から出て、自室に戻ろうとした時だった。
「ヒューゴ殿下!」
声の方を振り向くと、異母兄上と他の王子たちも集まっていた。
「殿下、今回の件、私たちの事まで配慮して頂き、ありがとうございました」
「「「ありがとうございました」」」
一斉に頭を下げる王子たち。
「頭を上げてくれ。君たちは僕と同じ、国王でもある父上の子供だ。それなのに、今まで冷遇されていたことが、そもそもおかしかったんだよ。それに…異母兄上、あなたのお陰で、僕は今回一夫多妻制の廃止を訴える事が出来たんだ。あなたには感謝しています」
「私がですか?」
一体何を言っているかさっぱり分からないと言った表情をしている、異母兄上。それでも僕は、2度目の生の時に、異母兄上が一夫多妻制を廃止してくれたから、今回の生でも廃止する事が出来たと思っている。本当に異母兄上には感謝しかない。ただ…
「いいえ、何でもありません。それではこれで、失礼します」
あまり訳の分からない事を言って、異母兄上を混乱させるのは良くない。とにかく、彼らが今後希望する生活を送り、幸せになってくれることを願うまでだ。
~1ヶ月後~
「殿下、今日はマリア嬢のお誕生日兼、殿下とマリア嬢が正式に婚約を結ぶ日です。ご準備はよろしいですか?」
「ああ、大丈夫だ。早速、レィークス侯爵家に向かおう」
そう、今日はマリアの15歳の誕生日だ。僕はこの日を、心待ちにしていたのだ。マリアの髪の色に合わせ、シルバーのタキシードを選んだ。そして急いで馬車に乗り込み、侯爵家へと向かう。
僕が屋敷に着くと、マリアが飛んできた。
「ヒューゴ様、お待ちしておりましたわ」
「マリア、15歳の誕生日おめでとう。これは僕からのプレゼントだよ」
「まあ、私にですか?嬉しいです。開けてもいいですか?」
「もちろんだよ」
嬉しそうにプレゼントを開けるマリア。
「まあ、素敵な指輪です事。この指輪、宝石が埋め込まれているのですね。珍しいデザインですわ」
不思議そうな顔で指輪を見つめるマリア。
「これはね、“婚約指輪”というものなんだよ。ある国では、好きな女性にプロポーズするときに、指輪を渡す習慣があるらしいんだ。マリア、僕は君を誰よりも愛している。僕と結婚してくれますか?」
マリアの前に跪き、そう伝えた。2度目の生の時、色々な国を旅してまわった。そんな中、ある国でこの風習を知ったのだ。もしマリアと結婚出来たら、必ず指輪を渡そうと思っていた。
「はい、もちろんですわ。私もヒューゴ様が大好きです」
そう言って、マリアが抱き着いて来た。そんなマリアを抱きしめ、そしてゆっくり引き離した。
「いいかい、マリア。この指輪は、僕と婚約している証でもあるんだ。絶対に外してはダメだよ」
箱に入っている指輪をとり、そのままマリアの左手の薬指につけながら、そう伝えた。
「わかりましたわ、絶対に外しません」
実は入学早々、マリアに渡した居場所が特定できるブローチなのだが、なぜかマリアは家に置きっぱなしにしている事が多く、あまり使い物にならなかった。その為、今度は指輪に居場所が特定できる機械を付けたのだ。
これならきっと、マリアも外さないだろう。そう考えたんだ。3度目の生でやっと手に入れたマリア。もう絶対離さないから。
今度こそ、2人で幸せになろうね。
マリア。
おしまい
~あとがき~
これにて、IFストーリーは完結です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
次は絶対に幸せになって見せます! @karamimi
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