第2話 困った事



「リレイナ。リレイナ!」

「どうしましたか?」

 

 数日後、ウィリアムは突然訪ねてきた。

 優雅にお茶を飲むの私の前には苛立った様子のウィリアムがいた。


「アデリーナは物をプレゼントすると、君違って喜んでくれる。キスもしてくれる。だからたくさんたくさんプレゼントしたんだ! なのに使ってくれない。それで聞いたんだ。プレゼントはどうしてるのかと。そしたら君に渡してるというじゃないか! 妹から奪うなんて……恥ずかしくないのか!?」

「それを言われると、姉から奪うなんて恥ずかしくないのか。とあの子に言いたくなりますが……まぁそれはいいとして。あれは全部あなたがアデリーナにあげた物でしたの」

「そうだ! それを君はっ」

「勘違いなさっているようですから申し上げますが、私はなにも奪っておりません。あれらはすべてアデリーナが自主的に渡してきたのです。それともアデリーナが盗られたとでも言ってましたか?」

「い、いや……」


 ウィリアムはどうやら勢いでここまできたらしい。まったく浅慮な男である。

 そこにちょうどよくアデリーナが現れた。


「あら? ウィリアム様どうなさったの?」

「アデリーナ! 君にあげたプレゼントの件だ……あれは、アデリーナに渡している。そうだな?」

「ええ。そうですけど……」

「彼女に盗られたんだな!」


 ウィリアムが私を指差して叫ぶ。

 するとアデリーナは首をかしげた。


「なんのお話ですの? あれは私の物になったので、姉妹で共有しているだけですけれど……」

「え……」

「だってわたくしたちこんなに仲がよいんですもの」


 そう言ってアデリーナは私に抱きついた。


「私の物はお姉さまの物なの。ああ、逆もそうなのよ」


 その理論で、彼女は私のものを持っていくのだけど。まぁ慣れたから気にしない。

 ウィリアムは混乱した様子でいた。

 しかしすぐに立ち直ると。「君たちは仲がいいんだな」などと言って、アデリーナの腰を支えて部屋を出て行った。

 台風のようで、私はため息をはくばかり。

 こういうことはおそらく続く。ウィリアムはまた近いうちに乗り込んでくるだろう。そう予想した。


 またまたその予想は的中した。


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