第6話

高1の夏に、パリの幼稚園で仲良くなったイレーヌちゃんが、大阪のボクの家に、パリからやって来た。

「あやめちゃん、めっちゃ久しぶり~!会いたかったよ~!」

「きゃあああ!イレーヌちゃん~!ボクも会いたかったよ~!」


イレーヌちゃんとは、パリで、いっしょによく、オルセー美術館に行って、カバネルさんの「ヴィーナス誕生」の絵を観に行っていた。


小3までパリにいて、小4の時、ボクは日本に来たから、会うのも、6~7年ぶりくらいだ。


イレーヌちゃんは、ボクの高校の転入試験に合格して、いっしょに同じ高校に通うことになった。そして、ボクの家で暮らすことになった。


ボクは女の子みたいだったから、本当の女の子のイレーヌちゃんといっしょに同じ高校に行けるようになって良かった。

高校は、制服でも私服でも、どちらでも良いので、ボクは、だいたい私服で通っている。制服で通う時は、女子の制服で行っている。私服の時も、女子の服で行く。イレーヌちゃんと、同じような服で、いつもいっしょに高校に行けて嬉しい。


ボクは高校で美術部だったから、イレーヌちゃんもボクといっしょに同じく美術部に入った。

イレーヌちゃんは、ちっちゃい頃から日本のアニメとかも、ずっと好きで、だから描く絵も、めっちゃ可愛いキャラクターなので、美術部のみんなの人気者になった。

イレーヌちゃんは、イレーヌちゃんそのもののキャラクターも可愛いのに、描く絵のキャラクターもめっちゃ可愛い。

うちの高校の文化祭でも、美術部として、みんな、絵を描いて展示したけど、ひときわイレーヌちゃんの絵は輝きを放っていて、来場者みんなの話題のまとになっていた。


イレーヌちゃんといっしょに万博記念公園にある太陽の塔の中に入ってみた。

三葉虫みたいなやつから、だんだんと上に登っていくにつれて、人類へと進化していく、その過程の展示に2人とも感動した。

そのあと、近くにある民俗学博物館にも行ってみた。イレーヌちゃんもボクも、2人とも、博物館とか美術館、ちっちゃい頃から好きで、パリでもよく行ってたから、当時の2人を想いだしていた。民俗学博物館も、世界中の民俗学的資料の展示、凄くて、2人で、中を何度も何度も、くるくるまわって、見て感動していた。こんな凄い民俗学博物館、世界のどこにもないだろうなって感じだった。

お土産コーナーで、インド象の、ちっちゃな置き物を買って帰ったら、ママに

「これ馬なの?」

って聞かれたから

「象だよ!インドに象さん、いっぱいおるやんか!知らんけど...」

って言ってもた。

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