第3話

「なあ嬢ちゃん達、大人しく捕まってくれやしないか?痛い目にあいたくないだろう?」


「おいドグ、何の説明も無しにそのセリフを吐いたところで意味が通じないだろう。はぁ。」

ドグと呼ばれたスキンヘッドの大男は、確かになと頬を掻く。


「そうか、じゃあラッツ、お前が説明してくれや。俺じゃあ上手く話せん。」

それもそうかと、ラッツと呼ばれたローブの男は頷き話し始める。


「俺達は、ある依頼者から君達の身柄の拘束を頼まれた。しかも生死は問わずだ!多分君達には説明は要らないだろうが、俺達はギフターズだ。君達もそうだろう?これだけ居場所が掴めなかったのだから、ただの一般人であるはずが無い。おそらく認識阻害系統の。で、俺達は戦闘系のギフターズだ。空間を隔離され俺達に囲まれては逃げようが無い。大人しく捕まってくれないか?」


「んー、思い違いも甚だしいけど、そっちの方の人達は考えが違うみたいよ。」

と美香が指を指す方向に目を向けると、嗜虐的な目をしている2人がいた。


「おい、お前らドグとラッツだっけか?何を勝手な事を言ってるんだ、あぁん?折角生死問わずって言ってるんだから、散々犯して滅茶苦茶にして、殺してくれって懇願するまでいたぶってやるんだよ、なぁ、ヨン?」


「ああ、トートの言う通りだ。こんなに良い餌が目の前にあるんだぜ、愉しまないでどうするんだ?お前らもそう思うだろう?」

ヨンが後を見渡すと他の6人も頷く。


ギフターズが世に出始めてから1年近くになるが、早々に裏の世界で名を売ってきたのがこのトートと、ヨンのコンビ。

トートのギフトは『ナイフ生成』と、『外さぬ投擲』、ヨンは『火魔法』である。

ギフトは好きなときに好きなだけ使える訳ではない。恐らくは魔素の多い少ないが関係していると考えられている。 

だが2人は発現が早かった事と、本人の資質も有るのだろう、どんな場所でも自分が今どれだけギフトを使えるかが瞬時に分かる。

その力を使い自分達を売り込み、権力者達の依頼を完遂し、報酬とは別に、自分達の悪行三昧の罪を権力者の力で揉み消してきた過去を持つ。


「か~、この中、かなりの魔素が漂っているなぁ。これならギフトを使いたい放題だぜ、なあ、トート。」


「ああ、いくらでもナイフが生成出来る。ああ、あの綺麗な顔と体を穴だらけに出来るなぁ!」


「おいおい、俺は火で炙りながら犯してーんだよ、いきなり2人とも殺すなよ?」


「ああ、分かってるよ。ゆっくり、じっくりとな。後の奴らも遊びたいだろうしな。じゃあそろそろやるか!」


バタッ、バタッ、バタッ、バタッ、バタッ、バタッ・・・

トートが、さあこれから楽しい虐殺ショーの始まりだとばかりに前を向いた瞬間、後から何かが倒れる音が聞こえてきた。

そして、すぐさま後を振り向いたトート達が見たものは・・・


「は?何でお前ら倒れてるんだよ!他に誰かいるのか?隠れてねーで出てきやがれ!」

トートは訳が分からないと叫ぶ。美香と杏子の目の前にいた4人以外が、一斉に倒れたのだから。


「私と杏子お姉ちゃん以外、誰も居ないわよ!何も見えなかったの?まあ、そんなものか。」

ちらっと右上を見ながら、発した美香の何か納得した物言いに対して杏子は


「あれ?美香ちゃん全員胴体も首も繋がっているけど、生かしておいたの?」


と、何とも怖いことをおっとりと言うのであった。



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