第72話 ゲームの対人戦要素って好き嫌いわかれるよな
この学園にはミサキのような学生マスターの他に、食堂や購買部で働いているスタッフの人たちがいるのだが。
彼女たちは戦うための才覚に恵まれなかったため、戦闘以外の面で学生マスターを支援しようと学園のスタッフになったという背景を持っている。
学園に所属するスタッフの大半は学生マスターと同じく、スタッフ専用の寮に寝泊まりし生活している為。
今回のような大規模作戦で学生マスターたちが出払ってしまうと、いざという時まともに戦える者がいなくなってしまうのだ。
(叢雲の敵は天使や悪魔だけじゃないからな…)
もしも異界域の外にある学園が直接襲われるような事態があるとすれば、その襲撃者は人の肉体を奪った天使や悪魔……あるいは叢雲に敵意を持ったマスターということになる。
いずれにせよ、人間と区別がつかない者の相手を学生にさせるのは酷だろうと基本的に”対人戦”の可能性が高い場所には大人たちが出張ることになっているのだ。
「ちなみに、私たちとは別ルートになるけど。 異界域の中に入る大人たちの部隊もあるわよ」
「あの…どうして人数を分散して動くんですか? 正直、みんなで移動した方が安全だと思うんですけど…」
「そうしたい気持ちは分かるけど、あまりマスターの人数が多いと召喚不能者が出てしまう可能性があるから…ダメね」
「召喚不能者ですか? 」
「前に説明した星の縛りを思い出してみて? 敵にも味方にも、戦闘に参加できる者の数には限りがあったはずよ」
「あっ……」
「星の縛りはとても強力で私たちでどうこうできるようなものではないわ。 人数が超過してしまったら、どんなに優秀なマスターでも仲間を一切召喚出来なくなってしまう。 それが召喚不能者よ。 恐ろしい敵を前した時、自分が召喚不能者になってしまったら…そう想像してみると集団で動くことの危険性が理解できるはず」
「仲間を喚べない…」
「ええ、先に召喚していたとしても強制的に盟友界へ戻されてしまうわ」
戦場で召喚を封じられてしまった自分を想像したのかミサキとアイカの顔が少し強張っていた。
「最川班の皆さん、おまたせしました」
「それじゃあ、そろそろ移動しましょうか」
「は、はいっ」
「■■ゥゥ」
(荷物は俺が運んどくぜ)
いつになく緊張した様子のミサキの手から荷物を受け取り、ついでにアイカやミツル先輩たちの荷物を肩に担ぎ移動車まで運んでいく。
「あ、ありがとエデン」
「助かるわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。