第71話 大人の役目

 ミサキの召喚に応え学園の駐車場に喚びだされると、そこには爽山へと向かう車両が列をなし待機していた。


(ん…? )


 作戦に参加する学生マスターたちに交じり、普段は見かけない大人の姿がちらほらと確認でき。


 はじめは移動する面子が常時よりも多いので、追加の運転手を雇ったのかと思ったが。


 彼女たちは乗っていた車から降りると校内の方へ歩いて行ってしまったので、どうやらドライバーではないようだ。


「今の…車から降りていった人たちは誰なんですか? 」


 ドライバーではないとしたら誰なんだと俺が疑問に思っていると、ちょうど同じことをミサキも考えていたようで。


 先輩であるミツルに大人たちの正体について質問していた。


「あの人たちはここの卒業生よ。 つまり私たちの先輩にあたるわね」


「ええ!? そうだったんですか…! 」


「今回の作戦で私たちが学園を空けている間、先輩方が学園に待機して留守を守ってくれるのよ」


「えっと…? 」


「ふふ。 どうして大人たちが留守番で私たちが攻略なの? って顔してるわね」


「あっ…いえ、その…」


「あ! それ、私もちょっと思ってた。 今回みたいな大きい作戦なら大人のマスターが攻略したほうがいいんじゃないかな…って」


「そう思うわよね。 でもね、実はこの作戦。 私たち学生マスター以外にも大勢の大人たちが参加しているのよ」


「えっ…初耳ですよそれ」


「大人たちと私たちとは役目が違うから、話していなかったんだけど…」


「詳しく話すと不安がる子たちもいるし、ね…」


「どういうことですか? 」


「貴女たちが知りたいのなら話すけど…」


「私は聞きいておきたいけど…アイは? 」


「…わたしも聞きたい」


「分かったわ。 簡単に言うと…そうね。 私たち学生が異界域で悪魔や天使と戦っている間。 大人たちは悪意ある人の手から私たちや民間の人たちを護っているのよ」


「それって…つまり」


「ええ、前に話したことがあるでしょ。 私たちマスターは、人と殺し合うこともあると」

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