第70話 爽山にて発生を確認
起床してすぐに幻異武装を身に纏い教室に集まるようにとの指示を受けた私とアイ。
時刻と集合場所だけ書かれた簡素な文面だったけど普段ならメッセージが送られてこないような時間に届いた指示ということもあり、もしかして…と身構えながら教室に入ったんだ。
「昨夜遅く、爽山に異界域の発生が確認されたわ。 拡大の速度と範囲から見て大規模異界域になるとみてまず間違いないとのことよ」
席に着くなり開口一番、最川先輩から発生が予想されていた大規模異界域の出現を告げられた。
「ということは…とうとう攻略作戦が始まるんですね」
二班で挑む通常の異界域とは違う、多数の班が参加する爽山の大規模異界域攻略作戦。
この日のために私たちは他の班のマスターと交流し連携を深めてきた。
「ええ、その通りよ。 予定通り、私たちの班は爽山の北口から突入することになるわ。 同じ北口から侵入する獅子柄班、
「了解です! 」
「はいっ! 」
私たち最川班、獅子柄班、柏森班の三班は大規模異界の発生が確認され次第最初に突入する第一陣。
ファーストグループ(北)に割り振られている。
私とアイの二人は先輩たちとは違い、まだ異界域の中で日を跨ぐことを想定した訓練を受けていないから。
夕方に突入してくる第二陣、セカンドグループ(北)のメンバーがセーフスポットに到着した時点でメンバーの入れ替えを行い異界域から脱出する手筈になっている。
「ミツルちゃん、車の準備が出来たみたいよ」
「それじゃあ、そろそろ出発するわよ。 車に乗ったら、作戦が終わるまでここには戻れないけど忘れ物はないかしら? 」
大規模異界域が消滅するまでの期間は、叢雲が手配した爽山周辺のホテルに寝泊まりし。
メンバーの入れ替えが必要な場面に備えて常に待機しておかなくてはならない。
これがただの旅行だったら、ホテルで遊ぶためのゲームを部屋まで取りに戻っていたけど。
メンバーの入れ替えがいつ必要になるか分からない状況で、遊んでいる余裕なんか絶対にあるわけないし……この場でゲームを取りに行きたいなんてなんだか言い辛い。
「まだ少し出発までの時間はあるから、雑誌とかゲームとか車に積んでおきたいものがあったら取に行っていいのよ? 」
「えっ…! 」
「いいんですか…? 」
「作戦中だからってずっと気を張っていてはすぐに限界がきてしまうわ。 休憩できるときは体だけじゃなくて心も休めておかないとね」
「…そういうわけだから、遠慮せずにいってらっしゃい」
「はいっ! 行こうっ、アイ」
「うんっ! 」
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