第62話 未登録世界
俺たちが新たに訪れたのは水中を泳ぐ魚から空を舞う虫に至るまで目につく全ての生き物がとにかくデカい巨大生物の世界だった。
(この間ミサキが観ていた古今東西の伝説の生き物や怪獣たちが大乱闘するお祭り映画を思い出すな…)
「ここはまだリストに登録されていない異世界の筈なのです。 名称の申請をしてそれが通れば、私たちが考えた名前で今後呼ばれることになるのですよ」
「にゃんとっ!? それにゃら、それにゃら……。 メアリースターにゃんてどうにゃ? 」
「ふふっ、記念に自分の名前をつけるのはたしかにアリね。 でも、その前に。 ここが今後も探索可能な世界かを判断しないといけないわ」
「どういうことにゃ…? 」
「私たちは扉を使って他の世界に勝手にお邪魔しているわけだし、いってしまえば侵入者なわけでしょ? だから、現地に生きる者たちと多少の小競り合いは避けられないけれど。 だからといって大規模な戦闘に発展する…戦争のような事態は避けたいのよ」
「みゃあ確かに…。 あにゃしらは基本少数精鋭で来てるからにゃ、本格的にやり合うには分が悪いのにゃ」
「と、というよりも…なるべく争いは避けたいなという話なのです…」
「ふんっ、そんなの都合のいい話はないのにゃ。 あにゃしらがエネルギーや素材を欲する以上争いは避けられないのにゃ」
「確かにそうね。 でも、野山で動物を狩るのと都心で人を殺すのではわけが違うでしょ? 山で鹿を狩ったからといってそこに住まう動物と戦争にはならないけれど。 人を殺せば戦争になることもあるわ」
「つまりどういうことにゃ? 」
「人間のような発達した文明とコミュニティを持つ生物が暮らす世界は私たちの活動には向かないのよ。 侵入者として狩りを行うのはいいけど、他の世界から敵として認知されるわけにはいかないの」
「バレなければ殺しも略奪もアリってことかにゃ? 」
「言い方が少しイジワルだけど……簡単にいえばそうなるわね。 とりあえず…この辺りを回って様子を探ってみましょう。 探索を続けるかどうかは私が判断するわ」
「はいです」
「了解なのにゃ」
◇◆◇
「ディンキー、今の」
「はい…聞こえたのです」
先頭を行くブラウの呼びかけに、ディンキーが緊張した面持ちで頷いた。
「微かにですが…話し声のようなものが聞こえたのです。 それも、私たちのよく知る言語なのです」
「ええ…。 今のは、人の言葉ね」
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