第59話 だからって喰うやつがあるかっ!
ミサキたちは近々発生するらしい大規模異界域の攻略に向けて、作戦を共にする他の班のメンバーと交流を深めることになった。
(複数の班が入り乱れる大規模作戦か…)
異界域を出入りするマスターが”味方だけ”とは限らない。
作戦に参加するマスターの人数が増えるという事は、それだけ部外者が混じっていても気付きにくくなるこということでもある。
ミサキの記憶力と現場での判断は勿論信頼しているが、彼女を護ることが俺の最も優先すべき役目である以上。
作戦に関わるマスターの顔と名前くらいは俺も念のために記憶しておいた方がいいだろう。
(ミサキが名簿のコピーを譲ってくれて助かったぜ)
最川班をはじめとする、大規模異界域攻略に関わる全ての班のメンバー。
その顔と名前を素早くかつ、正確に記憶していく。
(こういう時、このハイスペックな体は便利だよな)
スマホからパソコンへデータを転送するように、サッと目を通していくだけでマスターの情報が頭に叩き込まれていく。
人外であるセインやデモンの中には自身のマスター以外の人間をあまり判別できない者もいるらしいが。
元が人間であることが幸いしたのか、俺はミサキ以外の人間も問題なく判別できていた。
「■■ゥゥ」
(よしっ、と)
ミサキから受け取ったマスターの名簿を読み終えた俺は、約束通り資料が再利用されないよう処分する事にした。
(跡形もなく消しちまうには…そうだな…喰っちまうか)
処分の方法はいくつか思い浮かんだが、俺は一番手っ取り早い手段を採用しバイザーを持ち上げると己が体の中に資料を放り投げた。
「■■ィァ」
(うげぇ、マジィ…)
その気になればコンクリートだろうが鉄だろうが消化できる俺が、この程度で体調を崩すようなことはないだろうが……それでも、紙とインクの味はマジで最悪なんだとしっかり記憶しておく必要があるだろう。
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