第54話 デイリーで復活するボスとかダンジョンってゲームならウマいけど現実なら厄介だよな
デモンやセインを育成する際、最も多くの経験値を獲得できるのは異界域の攻略であり。
楔の主を撃破した時に得られる莫大な経験値はキャラクターのレベルにより獲得倍率に補正が掛かるので、育成終盤のキャラクターでもそれだけでレベルアップが見込めるくらいには美味しいものになっている。
とはいえ、異界域は発見され次第叢雲により対処されているという設定があるため、ストーリーで攻略し主人公たちが消滅させた異界域は周回することが出来ない。
アダムスコードでは育成やアイテム収集用に運営が用意した、世界観を無視したフリーの異界域やデイリー異界域、ウィークリー異界域が存在したが。
俺がいるこの世界には、どうやらそういった異界域は存在していないようだ。
(まあ…それもそうか)
もしも現実で、日替わりや週替わりでローテーションが組まれた異界域が何度も何度も出現していたら叢雲としてもやってられないだろう。
(だが、盟友冒険隊が変わらずにあるなら俺たちデモンやセインの育成には困らないだろうし。 問題ないな)
盟友冒険隊は異界域攻略程ではないがキャラクターの育成に適しており。
さらに、キャラクターの覚醒昇華に必要な特殊素材の入手も見込めるためやればやるほどお得なコンテンツなのだ。
欠点としては同時にマスターの育成が行えない事だったが、この世界ではミサキはミサキで訓練や授業に励み鍛錬を積んでいるのでその欠点も実質無くなっている。
「着いたわ。 この扉が私たちが利用する専用の出入り口になるから皆覚えておいてね」
ブラウに案内されやってきた広場には異世界と盟友界を繋ぐ扉が大量に置かれている。
俺たちが今後利用することになる扉には、最川班独自のマークが刻印されているため大まかな位置さえ覚えておけば間違う事もないだろう。
「異世界へ行くには、その世界に対応した鍵が必要なのだけれど。 今私たちの班は、その鍵を五種類所持してるから五つの世界に行くことが出来るってわけね」
「その鍵はどうやって手に入れるのにゃ? 」
「私たちは既に五本あるから関係ないけど。 結成したばかりの盟友冒険隊なら、一本目の鍵を世界渡りの力を持ったデモンかセインから受け取れるわ」
「あーぅう? 」
「世界渡りにゃ? 」
「世界渡りの能力は、楔の主となれる悪魔や天使が持つ世界の壁を超える力ね。 この能力を応用して異世界に渡るための鍵を作り出しているのよ」
(デモンやセインも、元は悪魔か天使なんだから世界渡りの力を持っていてもおかしくはない…ってことか)
アダムスコードではどうやって盟友冒険隊が異世界の探索に出向いているのかそこまで言及されていなかったが。
こうして、ゲームでは知り得なかった情報を改めて知れるのはアダムスコードの一ファンとしてなんだか嬉しい気持ちになる。
「一本目の鍵を入手した後、新しい鍵を入手するためには。 ”世界の断片”と呼ばれる特別なアイテムを訪れた異世界で収集していく必要があるわ」
「世界の断片って…なんだか名前を聞いただけで凄そうな感じがするのにゃ」
「世界の断片は、連なった世界に残された痕跡の事ね。 例えば、私たちのマスターが暮らすアースターには魔界や天界の世界の断片が残されているわ。 これはアースターと天界、そして魔界が連なった世界…簡単にいえば親戚のような関係性がある世界だからなの」
「にゃるほどにゃ…。 じゃあ、その世界の断片を集めた後はどうするのにゃ? 」
「一定量の世界の断片があれば、世界渡りの力で新たな鍵を作ってもらえるわ」
「そして、新しい鍵で訪れた世界でまた断片を集め鍵を作る…。 この繰り返しで行ける世界をどんどん増やしていくイメージなのです」
「■■ゥゥ」
(成程な)
「一先ず、今日はいまある鍵で行ける世界の中で一番安全な場所に行ってみましょう」
「うんうん、それがいいのですよ」
「だからといってサボっちゃダメよ、ディンキー」
「わ、わかってるのですよ」
「それじゃあ、皆準備はいいかしら? 扉を開けるわよ」
「あぅ! 」
「おーけーにゃ! 」
「■■ァ」
「盟友冒険隊、出発ね! 」
「なのです! 」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。